100種以上の仮想通貨を即時にレアルへ変換、Pixで簡単に支払い可能
大手暗号資産(仮想通貨)取引所の「Binance(バイナンス)」は21日、同社の仮想通貨決済サービス「Binance Pay(バイナンス・ペイ)」が、ブラジルの国営決済システム「Pix(ピックス)」に統合されたと発表した。これにより、ブラジル国内のユーザーは、バイナンスアプリを通じて仮想通貨を即座に法定通貨であるブラジル・レアルに変換し、ピックス経由で支払いが可能となる。
ピックスは2020年にブラジル中央銀行によって導入された即時決済システムであり、現在では月間約60億件の取引が行われている。同国の人口の約76%が利用しており、クレジットカードや現金を上回る普及率を誇る。バイナンスは、この広範なネットワークとの統合によって、バイナンス・ペイをより多くのブラジル国民にとって身近なものとすることを目指している。
今回の統合により、ユーザーはバイナンス・ペイで100種類以上の仮想通貨から選択し、即時にレアルへ変換。ピックスを通じて個人や事業者への支払いが可能となる。すべての操作はバイナンスアプリ内で完結する仕組みで、仮想通貨による決済がより直感的で身近なものとなった。
バイナンスのCEOであるリチャード・テン氏は、「これは革命的な進展だ」とコメント。ピックスとの統合により、同社のグローバルな影響力とブラジルの決済インフラが融合し、日常的な支払いにおいて仮想通貨を自然に利用できる環境が整いつつあるとした。また、金融ツールへのアクセスを広げ、経済的包摂の促進にもつながるとしている。
さらに、バイナンスのラテンアメリカ地域担当バイスプレジデント、ギリェルメ・ナザール氏は「バイナンス・ペイが国家の決済システムと統合されるのは今回が初めてだ」と述べ、この統合を同社にとってのマイルストーンと位置づけている。ナザール氏は、「地域ユーザーのニーズに応えることが、グローバル製品のローカライズにおいて重要だ」と語った。
背景には、ブラジルにおける仮想通貨の高い普及率がある。同国は世界第6位の仮想通貨市場であり、人口の17%以上が何らかの仮想通貨を保有しているという。バイナンスの委託による調査では、投資家の42%が仮想通貨を保有しており、これは株式や投資信託の保有率と同等だった。このような市場の成熟が、今回の統合を後押ししたとみられる。
今回の統合により、ブラジル国内の個人・事業者を問わず、仮想通貨を通じた迅速かつ安全な送金が可能となった。これは、仮想通貨が「投資対象」から「日常の決済手段」へと進化しつつあることを示している。
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