米上場ビットコインマイナー、3月に時価総額25%減=JPモルガン

木本 隆義
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マイニングとHPCの二刀流へ舵を切る大手企業

「JP Morgan(JPモルガン)」は1日、2025年3月に米国上場のビットコインマイニング企業14社の時価総額合計が約25%(約60億ドル)減少し、月間パフォーマンスとして過去3番目の大幅下落となったと報告した。

なぜこれほどの大暴落が起きたのか? ビットコインの価格がピークから調整局面に入ったうえ、ハッシュレートの上昇で採算がぎりぎりになり、さらにブロック報酬が半減した後であることが主な要因だ。体力のないマイニング企業は次々と倒れそうな勢いで、雪崩のような売りが出て株価が大きく押し下げられた。25%の下落は一見大きく見えるが、私見ではまだ序の口であり、弱い企業はさらに深刻な状況に陥る可能性がある。

結局、生き残るのは強いマイナーである。電力コストの安い地域に施設を構え、効率的な設備を積極的に導入し、資金調達にも長けている企業だ。たとえば「MARA(マラ、旧マラソン)」や「Riot(ライオット)」といった大手も、厳しい市場環境のなかで株価が大きく下落する一方、AIやHPC事業への多角化を進めるなど、新たな成長戦略を模索している。それでも彼らにはまだ余力があり、中小企業は吸収や買収によって再編される以外に道がないように思える。

トランプ政権は「ビットコインはアメリカ製」と強気の姿勢を打ち出し、新規参入も目立ちはじめている。ビットコインマイニングは差別化の利かない、純然たる価格競争なので、100%のレッドオーシャンだ。トランプ大統領の息子が「Hut 8」と組んで巨大マイニング事業に参画するという動きは、まるでかつての石油ラッシュを彷彿とさせる。政治的には追い風にも見えるが、ビットコインのネットワーク難易度は非常に高く、電力コストの上昇に対処できなければ、利益を上げるどころか自らの首を絞められてしまう可能性がある。

一方で、JPモルガンは「悲観が行き過ぎているのではないか?」という見解も示している。つまり、現在のマイナー株は過度に売り込まれており、割安になっている可能性があるという見方だ。そもそもビットコイン自体は値動きこそ荒いが、長期的には成長余地が十分にあると信じる投資家は依然として多い。たとえば証券会社「Bernstein(バーンスタイン)」は、年末までにビットコインが20万ドルに達するという大胆な予測を公表している。現在の価格が8万5千ドル程度として、仮にそれが倍以上に上昇すれば、マイニング企業の収益は大幅に増加し、今の株価水準は安すぎると判断されても不思議ではない。

強調したいのは、ビットコインのみを収益源とするビジネスモデルの脆弱性である。直近の半減期によって報酬は大幅に減少し、競争激化によりブロックを掘り当てる難易度も高まっている。こうした状況に対応するため、資金力のある大手企業は事業の分散を図っている。電力インフラを買収してAIサーバーに供給する、あるいはデータセンター事業に参入するといった、HPC事業との「二刀流の経営」だ。二刀流の経営が軌道に乗れば、マイニング専業の企業を尻目に長期的な生き残りが期待できるだろう。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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