アバランチでの実需創出に向け機関資本が本格参入
大手資産運用会社「VanEck(ヴァンエック)」は21日、Avalanche(アバランチ)ブロックチェーン上で事業を構築している企業を投資対象とする、新たな資産ファンド「VanEck PurposeBuilt Fund(ヴァンエック・パーパスビルト・ファンド)」の立ち上げを発表した。特定の条件を満たした投資家だけが投資できるプライベートファンドで、2025年6月のローンチを予定している。
新たに立ち上げられるファンドは、ヴァンエックの「デジタル資産アルファファンド(DAAF)」の投資チームによって運用される。DAAFは、主に市場で活発に取引されるデジタルトークンに投資するファンドで、運用資産総額は1億ドル(約143億円)を超える。ヴァンエックによると、DAAFは市場でも特に優れた運用成績を上げているという。
ヴァンエック・パーパスビルト・ファンドの主な特徴は以下の通りだ。
- 投資対象:アバランチエコシステム内で、発行されるトークンが長期的に実用的な価値を持ち、かつ事業規模を拡大できるようなビジネスを構築している創業者やプロジェクト。ゲーム、金融サービス、決済、AIなど幅広い業界を対象とする。
- 投資戦略:流動性のあるトークンおよび有望なベンチャーに、通常はトークン生成イベント前後またはそれ以降に投資。ファンダメンタルズを重視した長期的な成果を目指す。
- 余剰資金の運用:トークン化されたマネーマーケットファンドなど、アバランチネイティブの現実資産(RWA)トークンに投入する。
このファンドの背景には、ヴァンエックが提唱する「GDP onchain(GDPオンチェーン)」という考え方がある。これは、ブロックチェーン技術が、世界の経済活動や金融システムの中心的な基盤となり、多くの経済的価値がオンチェーン上で表現・取引されるようになるというビジョンだ。
DAAFのポートフォリオマネージャーであるプラナフ・カナデ氏は、「暗号資産(仮想通貨)における次の価値の波は、さらなるインフラではなく、実際のビジネスからもたらされるだろう。私たちは短期的な市場の流行を追うのではなく、持続的な価値を創出する起業家たちに資本と確信を提供する」とコメントしている。
アバランチを開発する「Ava Labs(アバラボ)」のチーフビジネスオフィサーであるジョン・ナハス氏も、「投機的な誇大広告から、真のユーティリティと持続可能なトークン経済へのシフトが見られており、ヴァンエック・パーパスビルト・ファンドは、ビルダーがそのシフトを主導するために必要な長期的な資本と戦略的な確信をもたらすことを目指している」と述べた。
ヴァンエックによる特化型ファンドの発表は、アバランチエコシステムの将来性に強い確信を持っていることを示す事例と言える。このファンドが、アバランチ上でのイノベーションを加速させる触媒となるか注目したい。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.31円)