英国、数十億ドル規模の仮想通貨マネーロンダリングネットワークを摘発

木本 隆義
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巨大マネロン計画の黒幕にロシア

12月4日、フィナンシャル・タイムズ紙によると、英国の国家犯罪対策庁(NCA)は、ロンドン、モスクワ、ドバイにまたがる数十億ドル規模の仮想通貨マネーロンダリング計画を摘発した。

この計画には、ロシアのスパイやヨーロッパの麻薬密売業者が関与しており、特に「Smart」と「TGR」という2つの企業が中心的な役割を果たしていた。SmartとTGRは、ロシア側には仮想通貨を利用して経済制裁を回避する手段を、麻薬シンジケート側は犯罪行為によって得た現金をクリーンな資金に変換する手段を提供するという、Win-Winの関係を実現していた。

金融ハブと裏社会の交差点

仮想通貨は「透明性が高い」という触れ込みで市場に登場した。だが、実際には「透明性」と「匿名性」の間で揺れ動く二重性が問題視されている。ロンドン、モスクワ、ドバイといった金融ハブが、裏社会との交差点として浮上しているのもその証左だ。

仮想通貨が犯罪者に利用される理由は明快だ。彼らは「監視を逃れたい」「足跡を消したい」という目的を持つ。一方で、ブロックチェーン自体はオープンな仕組みであり、解析が進めば取引の追跡は可能だ。しかし、そのためには高度な技術力や国家レベルのリソースが必要となる。結果として、多くの犯罪者は一時的な匿名性を活用しているに過ぎない。

制裁回避の新たな戦略

ロシアのスパイたちは「ドル以外の金融ネットワーク」を構築し、制裁を回避しようとしている。さらに、仮想通貨は国際送金手数料が少額で即時送金が可能であり、ドル覇権に対する潜在的な脅威となっている。だが、米国も黙ってはいない。仮想通貨取引所への規制を強化し、大手取引所バイナンスとの関係も緊張感を増している。

麻薬密売人やランサムウェア集団が仮想通貨を選ぶ理由は明白だ。現金では物理的な管理が煩雑になるが、デジタル通貨であればスマートフォン一つで巨額の送金が可能だ。「Smart」と「TGR」という企業が捜査対象となっている点も興味深い。これらの企業は表向きは合法的なビジネスを装いながら、実際には犯罪ネットワークと深く結びついていた可能性が高い。

終わりなき攻防の行方

英国国家犯罪対策庁のロブ・ジョーンズ氏が「最も重大な作戦」と称する今回の捜査は、犯罪ネットワークの一端を切り取ったに過ぎない。重要なのは今後の展開だ。

  • 犯罪者側:規制が強化されるほど、より分散型で追跡困難な技術を求める
  • 政府側:さらなる監視技術の開発や法的規制の強化で対抗する

技術と規制の果てしないいたちごっこは、はじまったばかりだ。

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情報ソース:The Financial Times

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JinaCoinのニュース担当記者。仮想通貨歴は8年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』(https://amzn.to/49zjrXG)。来タイ12年。
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