世界的にリスクオン再燃、市場は一斉に反発
ドナルド・トランプ米大統領は9日、日本を含む一部の国や地域に対する上乗せ関税を90日間、一時停止すると表明した。
「アメリカ合衆国に対して報復措置を取らなかったという事実に基づき、私は90日間の一時停止と、この期間中の相互関税を10%に大幅に引き下げ、即時発効させることを承認した」と、自身が所有するソーシャルメディアプラットフォーム「Truth Social(トゥルース・ソーシャル)」に投稿。
貿易赤字の大きさなどをもとに、日本を含むおよそ60の国や地域を対象にした相互関税、いわゆる「トランプ関税」は同日に発動されたばかりだった。
この関税一時停止の発表を受けて、77,000ドル(約1,130万円)付近で推移していたビットコイン価格は数分間で5%急騰。発表から4時間ほどで一時83,500ドル(約1,226万円)まで高騰し、執筆時点では82,428ドル(約1,210万円)となっている。

なお、トランプ関税が最初に発表されたのは今月2日。この発表を受けてビットコインはリスク回避目的の売りが続き、7日には82,497ドル(約1,211万円)から、一時74,400ドル(約1,092万円)まで下落。その後も反発と下落を繰り返す不安定なチャートを描いていた。
関税一時停止の発表後は、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)などの主要コインも軒並み高騰した。24時間の価格変動率は、ビットコインが+9.2%、イーサリアムが+14.81%、リップルは+14.02%となっている。
トランプ関税の発表以来、世界的なリスクオフの波が広がり、NYダウやS&P500、日経平均株価なども下落していたが、今回の発表を受けていずれも急騰している。NYダウやS&P500などの主要な株価指数は、発表直後に5%以上上昇。10日、日経平均株価は前日からの上げ幅が一時2,800円を超え、およそ1週間ぶりに34,000円台を回復した。
ただし、トランプ大統領は「中国が世界市場に対して示してきた敬意の欠如に基づき、私はここにアメリカ合衆国が中国に課している関税を125%に引き上げ、即時発効させる」とも述べており、中国との軋轢は今後も続く見込みだ。また、今回のような急な方針転換が今度も起きないとは限らない。
良くも悪くも、世界経済は今後もトランプ大統領に振り回され続けることになるだろう。暗号資産(仮想通貨)市場に大きな影響を与える要素として、しばらくはトランプ政権の動向を注視しよう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.85円)