トランプコイン発行に厳しい批判相次ぐ|仮想通貨業界と規制当局が懸念

廣野倭佳菜
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実質的な価値はほとんどない? トランプコインへの批判

米トランプ大統領は17日(現地時間)、自身の公式ミームコイン「TRUMP(以下、トランプコイン)」を発行した。この動きに対し、暗号資産(仮想通貨)業界や政治の専門家から批判の声が相次いでいる。

トランプ、メラニアコインは「ブランドの遊び」|アンソニー・ポンプリアーノ氏

「Professional Capital Management(プロフェッショナル・キャピタル・マネジメント)」の創設者兼CEOアンソニー・ポンプリアーノ氏(Anthony Pompliano)は21日(現地時間)、CNBCのインタビューに応じ、トランプ大統領やメラニア夫人に関連するブランド化されたミームコイン、トランプコインとメラニアコイン(MELANIA)の台頭について意見を述べた。

ポンプリアーノ氏は、これらを「投機的資産」と位置づけ、その価値はブランド力や希少性の認識に依存しており、ビジネスとしての実態は欠けていると指摘した。同氏はこれらのコインを野球カードや有名人のデジタルトレーディングカードになぞらえ、トランプ大統領のブランド力が投資家の関心を引きつけている要因だと説明した。

さらに、ポンプリアーノ氏はビットコインと比較し、ビットコインがデジタル資産としての正当性を制度的に受け入れられている一方で、トランプコインには明確な価値やビジネス基盤がないと強調。そのため、トランプコインは「80%がミーム的価値で、実質的な価値はほとんどない」と評した。

また、同氏は、トランプコインが他のミームコイン、特にDOGE(ドージコイン)と同様に、個人投資家によって価格が急騰する投機的な動きを引き起こす可能性があると警告。このような現象は一見魅力的に映るが、実際には極めて高い投資リスクを伴うと述べている。

最後に同氏は、「投資家は短期的な流行に惑わされず、冷静に価値を見極める必要がある」と強調し、慎重な判断を呼びかけた。

トランプコインは「仮想通貨の最悪を象徴」|マキシン・ウォーターズ議員

下院金融サービス委員会のトップであるカリフォルニア州選出の民主党議員マキシン・ウォーターズ氏(Maxin Waters)は20日(現地時間)、トランプコインの発行に対して厳しい声明を発表した。

ウォーターズ議員は、「このミームコインは仮想通貨の最悪の側面を象徴しており、規制当局や政策立案者が長年懸念してきた問題を具体化している」と批判した。また、購入者に関する透明性の欠如を問題視し、不正行為やインサイダー取引の可能性についても懸念を表明した。インサイダー取引は市場の公平性を損なう行為であり、一般投資家にとって不利な状況を作り出す可能性がある。

さらにウォーターズ議員は、「報道によれば、トランプ大統領はこのミームコインを通じて、世界中の未知の購入者から巨額の資金を得ており、結果的に彼の財産は10倍に増加した」と指摘。また、「このコインは何の実用性もなく、トランプ氏の名前や立場に依存して価値が生まれているだけ」と述べ、投資家が不透明な資産に過剰な資金を投入するリスクに警鐘を鳴らした。

最後に、ウォーターズ議員は「こうした動きは、仮想通貨業界全体の信頼を損ね、規制の必要性を強調するものだ」と訴え、消費者保護の観点からさらなる規制強化を求めた。

トランプコインの発行は、一部の投資家や支持者に注目される一方で、専門家や規制当局から厳しい批判を受けている。こうした議論は、仮想通貨業界全体における規制の必要性を改めて浮き彫りにしている。

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仮想通貨やFX、AI系について執筆活動をするWebライター。海外留学中に為替をはじめとした金融マーケット情報に興味を持ち、2023年に仮想通貨とFX業界に参入。市場動向を常に追いかけ、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を両方取り入れた市場解析やシナリオ構築が得意。
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