トランプ、新たな大統領令に署名へ|仮想通貨業界への銀行規制撤廃を目指す

ヤマダケイスケ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FRBの独立性と仮想通貨銀行への影響

ドナルド・トランプ米大統領が、新たな大統領令へ署名する予定であることが明らかとなった。11日、暗号資産(仮想通貨)メディア「Decrypt(デクリプト)」は情報筋の話として、この大統領令が前政権の仮想通貨業界への規制方針を大きく覆す可能性があると報じた。

情報筋によると、今回の大統領令では、前大統領ジョー・バイデン政権下で推し進められたとされる「オペレーション・チョークポイント2.0」の明示的な撤廃を目指しているという。この政策は、仮想通貨関連企業やその関係者に対する銀行サービスの提供を制限するもので、業界から強い批判を受けてきた。

ホワイトハウスの大統領デジタル資産作業部会事務局長のボー・ハインズ氏は、「トランプ政権はオペレーション・チョークポイント2.0に関連した取り組みを終わらせることに注力している」と強調。すでに行政による措置が進行中であることを明かしたが、その詳細な内容については言及していない。

FRBが推進する政策への影響が懸念

情報筋によると、この大統領令はFRB(連邦準備制度理事会)のマスターアカウント政策に影響を及ぼす可能性があるという。マスターアカウントとは、FRBとの直接取引を可能にする銀行業務に不可欠な口座を指す。すべての連邦公認銀行はこのアカウントを保有しており、これによって全国的な金融サービスの提供が可能となる。

バイデン政権下では、仮想通貨特化の銀行に対してマスターアカウントの付与が認められず、結果として業界の発展が制限されてきた。ワイオミング州を拠点とする「Custodia(カストディア)」は2022年6月、FRBがマスターアカウントの申請を却下したことを不当とし、同機関を提訴。しかし、2024年3月にワイオミング州の裁判所はFRBの判断を支持し、カストディアの主張を退けた。

FRBはホワイトハウスから独立した機関であるため、大統領令が直接その方針を変更できるわけではない。だが、もし今回の大統領令がマスターアカウント政策に絡んでくる場合、FRBも何らかの対応を迫られる可能性がある。仮に既存の方針が見直されることになれば、仮想通貨業界にとっては大きな進展と言えるだろう。

今回の署名が実現した場合、トランプ大統領政権下では3例目の大統領令の発動となる。同大統領は7日、戦略的ビットコイン準備金の創設に関する大統領令へ署名。米国を仮想通貨大国に押し上げる動きを加速させている。

オペレーション・チョークポイント2.0は、仮想通貨の成長を妨げる要因として批判されており、トランプ政権の仮想通貨推進方針とは対照的な立場を取っている。この政策に対してどのような措置を講じていくのか、今後の米国政府の発表に注目していきたい。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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