シンガポールドル連動型ステーブルコイン「XSGD」、XRP Ledgerに対応開始

伊藤 将史
12 Min Read
画像はStraitsX公式サイトより引用

多チェーン展開で利用シーンの拡大へ

シンガポールを拠点とするWeb3企業「StraitsX(ストレイツエックス)」は21日、同社が発行するシンガポールドル連動型ステーブルコイン「XSGD」が、「XRP Ledger(XRPレジャー、以下XRPL)」上で利用可能になったと発表した。

ストレイツエックスは、東南アジアを中心にデジタル資産のための決済インフラを提供する企業である。同社が発行するXSGDは、シンガポールドル(SGD)に1対1で価値が裏付けられたステーブルコインであり、シンガポール金融管理局(MAS)の規制枠組みに準拠している。XSGDはこれまでも、イーサリアム、ポリゴン(Polygon)、アバランチ(Avalanche)など複数のブロックチェーンで展開されており、新たにXRPLが加わった。

XRPLは、暗号資産(仮想通貨)であるXRPの基盤技術として開発された、分散型パブリックブロックチェーンである。10年以上の稼働実績を持ち、高速かつ低コストでスケーラブルな金融取引のために設計されている。DEX(分散型取引所)や資産発行ツールといった機能を内蔵しており、世界中のウォレット、フィンテック企業、機関投資家などに広く採用されている。

XSGDのXRPLでのローンチ詳細

今回のローンチは、XRPLエコシステムの主要プレイヤーである「Ripple(リップル)」とのパートナーシップの第一段階となるものとされている。これにより、ユーザーおよび開発者は、XRPL上でXSGDの送受信、保有が可能になる。また、DeFi(分散型金融)、ウォレット、送金、決済といった分野での新たな活用が期待される。

ストレイツエックスの発表によると、XRPLにXSGDを統合する主な利点は以下のとおりである。

  • ほぼ瞬時のSGD建て取引
  • 分散型FX取引とステーブルコインスワップ
  • コンプライアンスを考慮したオンチェーン決済ユースケース

ストレイツエックスは、今年後半にリップル社の「Authorised Trust Line(ATL:承認済みトラストライン)」モデルを活用し、機関投資家向けのパーミッション型(許可型)XSGDである「XSGDP」をローンチする計画も明らかにしている。

XSGDPは、企業による自社および第三者への支払い、企業が国際間で大規模な外貨両替を行う際の取引、およびこれらの取引のための流動性供給を、リップルの「オンデマンド・リクイディティ(ODL)」フレームワークを用いてサポートすることを目指す。

ストレイツエックスは、XRPL上でパーミッションレス型のXSGDとパーミッション型のXSGDPの両方を提供することで、進化するグローバルデジタル経済のニーズに合わせた、規制に準拠した決済レイヤーの基盤を構築するとしている。

なお、執筆時点ではXSGDの時価総額は約15億円であり、仮想通貨全体の時価総額ランキングでは1,081位となっている。この規模は、ステーブルコイン市場全体から見るとまだ決して大きくはないものの、規制に準拠したステーブルコインとしての信頼性や、今回のような主要ブロックチェーンへの展開を通じて、今後の利用拡大とそれに伴う時価総額の増加が期待される。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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