レイヤー1ブロックチェーンのSei(セイ)は10日、世界第3位のスマートフォンメーカーXiaomi(シャオミ)と提携し、同社の新型スマートフォンに暗号資産(仮想通貨)ウォレット兼ディスカバリーアプリをプリインストールすると発表した。中国本土と米国を除く全市場が対象で、グローバルユーザーへの大規模な展開となる。
中国本土・米国除く全市場で展開、26年にステーブルコイン決済も
新たに導入されるアプリは、Google IDやXiaomi IDを利用したシームレスなオンボーディングを実現し、ユーザー体験の向上を図る。セキュリティ面ではマルチパーティ計算(MPC)技術を統合し、主要な分散型アプリケーション(dApps)へのアクセス、個人間送金、さらには消費者対企業の取引をサポートする設計となっている。
セイの開発企業Sei Labs(セイ・ラボ)の共同創業者ジェフ・フェン氏は、この提携が「ブロックチェーン普及の転換点」であり、数十億人のユーザー体験を再定義するものだと述べている。
初期展開は暗号資産の普及が進むヨーロッパ、ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカが中心となる。シャオミはこれら地域で高い市場シェアを持ち、ギリシャ(36.9%)やインド(24.2%)といった国々でも販売割合が大きく、多くの消費者に暗号資産関連サービスへの接点が生まれるとみられる。
さらに両社は、シャオミの実店舗2万店超とデジタルエコシステムに向け、ステーブルコイン決済の導入も検討している。セイ上でネイティブに動作するUSDCなどを用い、スマートフォンから電気自動車までシャオミ製品の購入を可能にする計画で、2026年第2四半期に香港とEUでの初期ローンチを目指す。
発表によれば、シャオミは2024年だけで1億6,800万台のスマートフォンを販売し、世界市場シェアの13%を占めるトップメーカーの一角だ。今回のアプリは新端末へのプリインストールに加えて既存ユーザー向けの広告展開も予定され、暗号資産アプリを「探して使う」従来の形を変える流通チャネルが形成される見通しだ。
本提携は、ブロックチェーンがスマートフォンという日常デバイスに標準搭載される流れを示すものであり、利用者の初期ハードルを大幅に下げる点が注目される。特に新興地域での暗号資産普及に影響を与える可能性があり、ステーブルコイン決済の実装が進めば、エコシステム全体の実需拡大につながると考えられる。
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