ロビンフッドのカナダ市場進出、WonderFi買収の背景と狙い
米国の金融サービス企業「Robinhood(ロビンフッド)は13日、カナダの暗号資産(仮想通貨)企業「WonderFi(ワンダーファイ)」の買収に関する正式契約を締結したと発表した。この買収は全額現金で行われる予定で、総額は約2億5,000万カナダドル(約1億7,900万米ドル)にのぼる。ワンダーファイの株主には1株あたり0.36カナダドルが支払われ、これは発表前日の終値に対して約41%のプレミアムとなる。
この買収により、ワンダーファイは今後、ロビンフッドの仮想通貨部門の一部として統合され、引き続きカナダ国内の顧客に向けて仮想通貨関連サービスを提供していく予定だ。
ワンダーファイは、カナダで仮想通貨取引所「Bitbuy(ビットバイ)」および「Coinsquare(コインスクエア)」を運営しており、これらは同国で最も長く規制下で運営されている主要なプラットフォームの一つである。現在、顧客資産の総額は14億ドル以上にのぼり、仮想通貨の取引、ステーキング、カストディ(保管)など多様なサービスを提供している。
ロビンフッドは今回の買収を通じてカナダ市場における仮想通貨事業への本格進出を果たす狙いがある。すでに欧州で仮想通貨サービスを展開している同社にとって、今回の買収は北米での仮想通貨基盤拡大の重要な一歩と位置づけられる。
買収の完了は2025年後半を見込んでおり、今後、規制当局や裁判所の承認、ワンダーファイ株主の同意といった通常の承認手続きが必要となる。
買収後も、ワンダーファイのブランドと既存サービスは維持される予定で、同社の経営陣はロビンフッドの仮想通貨部門「Robinhood Crypto(ロビンフット・クリプト)」に加わる。また、ワンダーファイの従業員も、ロビンフッドのトロントを拠点とするカナダ法人に編入される。
今回のロビンフッドによるワンダーファイの買収は、北米市場における仮想通貨サービスの信頼性と普及に一定の影響を与えるだろう。金融市場のグローバル化が進むなか、こうした動きが今後の規制対応やユーザー保護の在り方にも波及する可能性がある。
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