Riotがビットコインを担保に1億ドル確保──Coinbase Creditとクレジット契約

木本 隆義
11 Min Read

株主の希薄化を避け、成長戦略に資金を充てる

米テキサス州のビットコインマイニング会社「Riot Platforms(ライオット・プラットフォームズ)」は23日、「Coinbase(コインベース)」の貸付部門「Coinbase Credit(コインベース・クレジット)」と総額1億ドルのビットコイン担保クレジット枠を締結したと公表した。

ようするに「掘り師」(ライオット)が自分が掘った「金塊」(BTC)を質草にして、「両替商」(コインベース)からキャッシュを引っ張る荒業だ。

株式を刷って希薄化させるより、ビットコインを担保に低コストで現金を調達できるなら株主は拍手だろう。ライオットはハッシュレートと保有ビットコインの“二刀流”でバランスシートを膨らませてきたが、マイニング難度は“上弦の月”のように少しずつしか上がらない。設備更新のたびに新株を発行していたら、当然株価はバーボンの水割りのように薄まる。今回のデットファイナンスは「株主希釈なし、しかもビットコインは売らずに済む」というイイトコ取りだ。

とはいえ質草はビットコイン。相場が転げ落ちれば追加担保か早期返済を迫られかねない。今は半減期後の“潮目待ち”フェーズで、強気派は20万ドルだの春風だのと騒ぐが、売り方が仕掛ける冷たいブリザード・ショックも忘れてはいけない。マージンコール一発でキャッシュフローが蒸発、採掘機はブレーカーが落ち、結局ビットコインを叩き売る――そんな最悪のシナリオも頭の片隅に置かなければならない。

それでも今回の契約は「複数回引き出し可」「満期は364日+延長オプション」。ようは“飲み放題”ではなく“都度払いショットバー”だ。ビットコイン価格が上げ潮なら担保価値も自動で膨らむから、実質的にLTV(貸付比率)は時間とともに改善しやすい。金利はFedファンド上限+4.5%あたりがメドと業界で囁かれているが、マイナーの調達金利としてはまだ良心的だろう。マラソンやクリーンスパークのATM増資より、こっちの方が株主にはウケる。

使途はなんだろう?テキサス・コルシカーナの超巨大データセンター建設費と見るのが自然だろう。電力単価はテキサスのひまわり畑並みに安いが、送電網の増強と液冷リグの導入には前払いが要る。ハードキャッシュを確保したうえで、次のブル市況までフルハッシュで走り抜く――ライオットの腹積もりはそんなところではないか。

まとめると、

  1. 今回の枠は“非希薄化”だがBTC相場次第でリスクは跳ねる
  2. コインベースは担保BTCを現物で握り込むため、破綻時には売り圧が集中する恐れあり
  3. もしビットコインが急騰すれば、ライオットは余剰担保を“再質入れ”して追加で現金を引っ張る可能性も

まさにハイリスク・ハイリターン、乗るも降りるも己次第だ。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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