L1ネットワーク開発「Pod」1,000万ドル調達|a16z・1kxなどが出資

木本 隆義
12 Min Read
画像はPod公式サイトより引用

“コンセンサスなし”という独自のアプローチ

Layer1ネットワーク開発の「Pod(ポッド)」は28日、1,000万ドルのシード資金調達を完了したと発表した。

ブロックチェーン業界では「速度」「コンセンサス」といった技術的なキーワードが飛び交うなか、ポッドは“コンセンサスなし”という独自のアプローチを掲げる。果たしてこの新手法は妥当なのか、そして将来的な可能性を秘めているのか?

従来のブロックチェーン技術では、ネットワーク上のノードが合意を形成し、正確な台帳を共有するための「コンセンサスメカニズム」が不可欠とされてきた。例えば、ビットコインイーサリアムでは、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)やPoS(プルーフ・オブ・ステーク)といった手法で取引の整合性を確保している。

ところがポッドは、「コンセンサスなし」の手法として、トランザクションをバリデーターに直接ストリーミングし、タイムスタンプとデジタル署名を用いて検証を行う方式を採用。これにより、ブロックの生成を待たずに即座にトランザクションを処理する設計となっており、Google(グーグル)検索の応答時間(約200ミリ秒)に匹敵する高速処理を目指しているという。ただし、不正や二重支払いをどのように防ぐのかといった具体的な実装については、今後の開発動向を見守る必要がある。

今回のシードラウンドでは、著名ベンチャーキャピタルの「a16z CSX(アンドリーセン・ホロウィッツ・CSX)」と「1kx(ワンケーエックス)」がリード投資家を務めた。さらに、「Flashbots(フラッシュボッツ)」や「Blockchain Builders Fund(ブロックチェーン・ビルダーズ・ファンド)」、「Protagonist(プロタゴニスト」など複数の投資家が出資。大手VCが資金を投じる背景には、ポッドの技術的可能性に対する一定の評価があると考えられる。特に、Web3インフラへの投資に積極的なa16zが支持を表明したことは、他の投資家や開発者の関心をさらに集める材料となっている。

ポッドが公表しているロードマップによれば、数週間以内の開発者向けネットワーク(Devnet)立ち上げを皮切りに、2025年Q3にはテストネット、そして2026年Q1にはメインネットをローンチする計画という。ブロックチェーンプロジェクトではしばしば開発遅延が発生するが、ポッドは比較的長めのスケジュールを設定している。このスケジュールが技術検証やセキュリティ対策を念頭に置いたものかは不明だが、十分な開発期間を確保していることが特徴的だ。

また、ポッドは「EVMxフレームワーク」を導入し、EVM(イーサリアム仮想マシン)との互換性を拡張している。これにより、Solidity(ソリディティ:スマートコントラクト言語)開発者は既存の知識を生かしながらポッド上での開発が可能になり、イーサリアムエコシステムからの移行や新規開発が容易になる。新興のLayer1プロジェクトにとって、開発者コミュニティの支持は不可欠。EVM互換性の確保はエコシステム拡大の鍵となるだろう。

1,000万ドル規模のシード投資は、Web3やLayer1の領域では“たっぷりな”金額といえる。特に、ベアマーケットとされる現下の市場環境で、5名のコアチームを中心とするプロジェクトがこれだけの出資を集められたことは注目に値する。投資家がポッドのコア技術に期待を寄せている証左でもあり、今後さらなる調達や協業も期待できそうだ。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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