暗号資産(仮想通貨)市場において、パーペチュアル取引に特化した分散型取引所(DEX)が急速に存在感を強めている。パーペチュアルDEXは9月、全体の取引ボリュームが初の1兆ドル(約147兆円)の大台を突破した。この取引ボリュームの急増は、DEX市場の顕著な成熟と参加者の関心の高まりを示している。

Hyperliquidの牙城崩れる、覇権争いの新局面
市場の躍進を牽引しているのが、新興DEXとして注目される「Aster(アスター)」だ。暗号資産メディア「The Block(ザ・ブロック)」の提供データによると、アスターの9月の取引ボリュームは約4,200億ドル(約62兆円)に達し、競合DEXを大きく引き離す結果となった。10月に入ってからはすでに約1,551億ドル(約22兆円)の取引ボリュームを記録しており、その勢いはとどまるところを知らない。

パーペチュアルDEX市場では、長らく「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」が圧倒的シェアを誇ってきた。しかし9月にはアスターがその牙城を崩したことで、覇権争いの構図に変化が生じている。
アスターが注目を集める背景には、独自トークン「ASTER」のエアドロップがある。ASTERはトークノミクスのうち53.5%がエアドロップに割り当てられており、9月17日のトークン生成イベント(TGE)時に総額7億400万ASTERを配布。残りのトークンも今後7年間にわたり段階的に放出される予定となっている。こうした仕組みはハイパーリキッドが過去に実施した大規模エアドロップを想起させ、投資家の期待を集めている。
また、アスターの競合となる「edgeX(エッジエックス)」や「Lighter(ライター)」といったDEXも、今後予定されているエアドロップを背景に利用者を拡大させ、取引ボリュームを伸ばしつつある。パーペチュアル取引を巡る市場競争は今後、さらに激化していく可能性が高い。
かつては一強状態にあったパーペチュアルDEX市場だが、いまや複数の新興勢力が台頭することで市場全体としての活況が後押しされている状況だ。特にエアドロップという魅力的なインセンティブは、投資家をDEXに惹きつける最大の武器として機能している。投資家の期待感と競合争いが入り混じるパーペチュアルDEX市場による、これからのさらなる成長に投資家の注目が集まる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.83円)