現実資産(RWA)のトークン化を手がけるオンド・ファイナンスは8日、米証券取引委員会(SEC)が長らく進めてきた機密調査が、一切の告発なしに終了したことを公式Xで明らかにした。
規制面の懸念払拭、同社の次の一手とは?
この調査はバイデン政権下で強化されたデジタル資産規制の一環として開始され、オンド・ファイナンスが提供する米国債のトークン化サービスが米国の証券法に準拠しているか、また同社の独自トークン「ONDO」が証券に該当するかが焦点となっていた。
オンド・ファイナンスは2024年以降、米国債を中心としたトークン化市場で急速に存在感を高めており、その台頭が規制当局の警戒を招いていた。だが同社は当初から、透明性を重視した設計こそが投資家保護を強めるとの立場を貫き、調査期間中もSECに全面協力してきたと説明。今回の結果は、同社の姿勢が規制当局に認められた形といえるだろう。
同社の発表を受け、ONDOは8日に一時0.5ドル超まで上昇。前日比6.42%高で取引を終えた。しかし、執筆時点では0.477ドル付近まで下落しており、未だ9月中頃から続く下落の波に抑え込まれている状況にある。投資家心理の本格的な改善には、同社の動向に加え、市場全体の動向も鍵となるだろう。

事業買収で基盤強化、来年2月に新ロードマップ発表
オンド・ファイナンスは10月6日、米フィンテック企業Oasis Pro(オアシスプロ)の買収完了を発表した。これにより、同社はブローカー・ディーラーなどの複数ライセンスを確保。米国の規制環境下でトークン化証券を扱うための完全な基盤を整備した形だ。
買収と規制明確化を受け、同社は「トークン化証券が米国の資本市場の核となるべき時が来た」と公式ブログ内で強調。米国の資本市場を含む、世界の金融の未来をオンチェーン上で実現するリーダーとして台頭していく姿勢を明確にした。
なお、同社は2026年2月3日にニューヨークで「Ondo Summit(オンドサミット)」を開催し、規制当局や金融業界のトップを集め、オンチェーン金融の新時代のビジョンとロードマップを共有する予定となっている。規制面の明確化と事業基盤の強化を追い風に、同社がどのように次の成長段階へ踏み出すかが今後注目されそうだ。
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