東京証券取引所(東証)を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)は18日、上場後に事業内容を大幅に変更する企業行動への対応策を検討し始めたことを明らかにした。投資家保護の観点から問題視する姿勢を示しており、市場関係者の間では、暗号資産(仮想通貨)を大量保有する戦略をとる企業への規制強化の動きと見られている。
上場後の「後出し」事業転換に規制へ
東証が懸念を示しているのは、新規上場時には想定されていなかった事業へ、上場後に大きく舵を切る事例である。もし当初からその事業内容であった場合、企業の継続性や収益性、内部管理体制などの審査基準に適合せず、上場が認められなかった可能性があるためだ。
今回の議論の背景には、近年、上場企業がビットコイン
BTCやイーサリアム
ETH等の暗号資産の保有・投資を主軸とする「暗号資産トレジャリー企業」へ転換する動きが目立っていることがある。こうした実質的な投資会社への変貌は、厳格な新規上場審査を事実上回避する「抜け穴」となっているとの指摘が根強い。
現行制度では、定款の事業目的変更には株主総会の決議が必要だが、取引所による再審査の仕組みはない。合併を伴わない単独での事業変更であれば、実質的に審査の目が届かないのが現状である。東証はこれを、投資家保護の観点から是正が必要な課題として挙げている。
議論の参考として、米国のNYSEなどが導入している厳格な制度が紹介された。米国では、IPO時に関与していなかった分野へ主要事業を変更した場合、上場適格性の再審査を行い、不適格なら上場廃止となる事例がある。東証もこれらを参考に、制度設計を進める可能性がある。

メタプラネット代表、規制議論を「健全な発展」と歓迎
こうした動きに対し、日本を代表する暗号資産トレジャリー企業であるメタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ代表は以前、規制議論を「健全な発展」と歓迎する意向を示した。市場の透明性を高める議論は、ビットコインを財務資産に組み入れるような新しいビジネスモデルの信頼性向上に寄与するとの見解だ。
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同氏は自社の正当性も強調している。同社の戦略転換は、複数回の株主総会を経て株主の承認を得たものであり、ガバナンスを遵守していると反論した。当局との対話にも応じる構えで、透明性を確保しつつ企業価値の向上を目指す姿勢を堅持している。
上場枠を利用し、審査の厳しい事業へ後から転換する手法への規制は不可避だ。メタプラネットのように手続きの正当性を説く企業がある一方、東証が検討する「再審査」の導入は、暗号資産を扱う上場企業にとって大きな戦略的転換点をもたらすだろう。




