米暗号資産(仮想通貨)運用会社グレースケール・インベストメンツは1日、2025年11月の市場レポートを公開し、ビットコイン(BTC)価格が「4年サイクル」説に反し、2026年に高値を更新する可能性があるとの見解を示した。
10月からの30%下落は「強気相場の典型的な調整」、底打ちの兆候も
2025年10月初旬から見られたビットコインの約30%の下落は、2010年以降の歴史的な平均下落率30%と一致しており、2022年11月の底値以降で9回目の調整となる。
グレースケールは、こうした調整を「ビットコインの強気相場では典型的」と分析している。
市場参加者の中では、ビットコインの供給量が4年ごとに半減する「半減期」に合わせて価格も4年で変動する「4年サイクル」説が広く信じられている。この説では2026年に下落が予想されるが、グレースケールは4年サイクル説を否定し、2026年の高値更新を予測している。
この予測の根拠として、いくつかの底打ちの兆候を挙げている。
たとえば、ビットコインのプットオプションスキューが非常に高くなっており、これは投資家がすでに下落リスクに対して大幅にヘッジしていることを示唆している。また、Coin Days Destroyed(CDD)の急増は、長期保有者による売却の可能性を示しているものの、こうした動きは過去にも見られ、短期的な底打ちの先行指標となることがある。
一方で、先物建玉の減少やETP(上場投資商品)からの資金流出など、需要が依然として弱いことを示す指標もあると指摘。これらの指標が好転すれば、より確信を持って底打ちを判断できるとしている。
また、暗号資産ETP市場の拡大にも言及している。11月にはXRPとドージコイン(DOGE)のETPが新たに市場に登場し、米国で上場されている暗号資産関連ETPは124本、その運用資産総額は1,450億ドル(約22兆5,700万円)に達したと報告している。
グレースケールは、不確実な市場環境が続くものの、戦術的には短期的な底打ちの可能性を指摘。年末にかけては、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加の利下げや、超党派による暗号資産関連法案の進展などが、市場の追い風になる可能性があると述べている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.65円)




