DePIN展開を視野に、GLIFの流動性向上とガバナンス強化
DeFi(分散型金融)を提供する「GLIF Protocol(GLIFプロトコル)」は19日、ガバナンストークン「GLF」のリリースを発表した。
GLIFプロトコルは、分散型ストレージネットワーク「Filecoin(ファイルコイン)」上でDeFiを推進するプロトコルであり、ついにガバナンストークン「GLF」をリリース。この発表は、暗号資産(仮想通貨)市場において注目すべきニュースである。
ファイルコインは、データの分散ストレージ領域で頭角を現し、長年にわたりエコシステムを構築してきたが、近年、そのネットワーク上でDeFiの活用が進み、大きな注目を集めている。従来、ストレージ担保の効率化が課題とされてきたが、GLIFは「流動性リース(Liquid Leasing)」というモデルを導入し、ファイルコインの資本効率を飛躍的に向上させたのが特徴である。FIL保有者はGLIFのプールに預けることで利回りを得られ、ストレージプロバイダはそれを担保として活用し、マイニングの規模を増強できるため、双方にメリットがある構造となっている。
今回リリースされた「GLF」は、GLIFプロトコルのガバナンストークンであり、エアドロップはすでに18日から開始されている。GLFの総供給量は10億枚で、そのうち10%(1億枚)がエアドロップに割り当てられており、GLIFポイントを1ポイント以上保有しているユーザーが対象となる。
受け取り方法としては、対象ユーザーがGLIFの公式サイトで確認し、配布されたトークンを請求するしくみだ。配布量のうち25%は即時に受け取り可能で、残り75%は180日(約6か月)かけて段階的にベスティングされる。このしくみにより、短期間での売却による市場への影響を抑えつつ、長期的にトークン保有を促進する狙いがある。
GLFトークンは単なるガバナンストークンにとどまらず、プロトコル内でのステーキングにも活用できる。流動性プロバイダーはGLFをステークすることで報酬を向上させることができ、ストレージプロバイダーにとっては手数料の軽減といったメリットもある。さらに、GLF保有者にはプロトコルのガバナンス投票権が付与され、将来的な運営方針や重要な決定に関与することができる。
GLIFはファイルコイン以外の分散型物理インフラ(DePIN)ネットワークへの展開を視野に入れており、この拡張路線が実現すれば、TVLや利用者ベースの拡大によってトークンの需要がさらに高まる可能性がある。GLFを保有していればプロトコルの運営に関わり、各種インセンティブを享受できるという点も魅力だ。実際、テクノロジー面だけでなく、ユーザーを巻き込むコミュニティ主導のガバナンスが鍵を握る。ファイルコインの堅固な基盤とDeFiのイノベーションが同時に機能してこそ真価が発揮されるという観測も根強い。