金融庁は7日、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクによるステーブルコインの共同発行実証実験を支援すると発表した。日本経済新聞によると、片山さつき金融相は同日の閣議後会見で「法令解釈などの面から実証実験の実行をサポートしていく」と述べた。実験は11月中に開始され、早ければ今年度内の実用化を目指す。
決済高度化プロジェクトの初採択案件
金融庁は同日、ブロックチェーン技術を活用した決済高度化の支援に特化した「決済高度化プロジェクト」(PIP: Payment Innovation Project)を「フィンテック実証実験ハブ」内に新設。今回の3メガバンクの実証実験は、PIPとして初、フィンテック実証実験ハブとしては11件目の支援案件となった。
実証実験では、複数の銀行グループが共同でステーブルコイン(電子決済手段)を発行する際の規制対応や実務対応を検証する。円建てステーブルコインの規格を統一して発行し、将来的にはドル建ても検討。送金上限の制約がない「信託型」を採用することで、企業間決済などの高額取引への利用を想定している。
最初の利用企業は三菱商事で、日本拠点と海外拠点間の越境決済に活用する。同社は主要な事業会社を240社以上抱えており、拠点間の送金手数料や手間の大幅な削減が期待される。三菱UFJ信託銀行が資金を信託財産として厳格に管理し、システムは3メガバンクグループなどが出資するプログマ(東京・千代田)の基盤を使用する。
ステーブルコインを活用した国際決済インフラが実用化されれば、従来の銀行振込で数日を要していた決済が瞬時に完了する。3メガバンクは、マネーロンダリング対策やコンプライアンスなどの実務ルールを明確化しながら検証を進める。
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