FBIのカッシュ・パテル長官は、米国連邦保安局(USMS)から約4,600万ドル(約72億円)相当の暗号資産を窃取した疑いで、ジョン・ディギタ容疑者を逮捕したと発表した。逮捕はカリブ海のサン・マルタン島で、フランス警察部隊との共同作戦により実施された。
自身の資金力をSNSで自慢したことが、逮捕につながる
米政府は犯罪捜査等で押収した暗号資産の管理や売却を、民間企業に外部委託している。容疑者はその委託先の一つであるIT企業「CMDSS」のCEOの息子である。政府関連契約企業の内部情報を悪用し、ウォレットの管理権限にアクセスしたとみられている。
事件解明の糸口は、容疑者自身のSNSでの不用意な行動である。容疑者は通信アプリ「テレグラム」上の口論で自身の資金力を誇示するため、暗号資産ウォレットの画面を共有した。その際、ウォレットのアドレスが映り込んでおり、「オンチェーン探偵」のZachXBT氏が独自の調査を開始した。

ZachXBT氏は映り込んだアドレスを起点に、ブロックチェーン上の取引履歴を遡って分析した。その結果、容疑者のウォレットに対し、USMSが管理する流出元ウォレットから直接資金が送金されている事実を突き止めた。
パテル長官は声明で、「米国の納税者を欺こうとする者は、どこに隠れようとも国際的なパートナーと協力して追跡・逮捕し、裁きを受けさせる」と述べ、24時間体制で犯罪撲滅に取り組む米当局の強い姿勢を強調した。
本件は、外部からの高度なハッキングではなく、内部関係者の権限悪用という古典的なリスクが暗号資産管理においても致命的であることを示している。政府や企業は技術的な保護措置に加え、業務委託先の厳格な監査とアクセス権限の分散化を徹底する必要がある。
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