調査会社のカルパー・リサーチは6日、イーサリアム
ETHおよびイーサリアム関連証券に対するショートポジション(空売り)を保有していることを公表した。同社は、2025年12月に実施されたイーサリアムの「Fusaka(フカサ)」アップグレード以降、イーサリアムのトークノミクスが「損なわれた」と主張している。
「実需の増加」を否定するオンチェーン分析
カルパ―はまず、著名なイーサリアム強気派であるトム・リー氏の主張を挙げ、それを真正面から否定した。リー氏は「ユーティリティの向上により、イーサリアムはデススパイラルには陥っていない」と主張し、フサカ後のアクティブアドレス数や取引数の急増をファンダメンタルズ強化の証拠として挙げている。これに対し、カルパーは「リーは無知だ」と切り捨てた。
同社の分析によると、リー氏が「機関投資家の採用」と呼ぶ活動の実態は、Fusaka後に過剰となったブロックスペースによって引き起こされた、「低価値な『アドレスポイズニング』や『ウォレットダスト』の洪水である」としている。
カルパー・リサーチの指摘は、アップグレードによってネットワークの容量(ガスリミット)が拡大した一方で、実際の需要がそれに追いつかず、イーサリアムのガス代(手数料)が約90%も暴落したことに起因する。手数料が「タダ同然」になったことで、ユーザーの取引履歴を汚して誤送金を誘う「アドレスポイズニング」や、不特定多数に少額を送りつける「ウォレットダスト」といったスパム行為のコストが激減し、結果としてネットワーク上の「見かけの活動数」だけが膨れ上がっているという分析である。

グラフのとおり、アップグレードを境に新規ウォレット数が急増しているが、実需(紺色)は横ばいであり、増加分のほぼすべてを「ダスティング(スパム活動)」が占めていると同社は主張している。
同社の報告によると、フサカ以降の新規ウォレット成長の95%は、新しく作成された「ダスト(少額資金の送り付け)」ウォレットで説明がつくという。また、ポイズニング攻撃は3倍以上に増加しており、現在では「全取引の22.5%を占めるに至っている」とも指摘している。
ヴィタリック氏は「イーサリアムのトークノミクスが壊れている」ことを知っている?
さらにカルパーは、「(イーサリアムの共同創業者)ヴィタリック氏自身がイーサリアムのトークノミクスが壊れていることを察知している」と主張する。
同氏は1月30日、イーサリアム財団の「緊縮期間」の資金調達として、16,384ETHを売却すると事前に発表していた。しかし実際には、それ以降すでに19,300ETH以上を売却しており、現在も継続中であるという。これをもとにカルパ―は、「ヴィタリック氏は、リー氏が知らない事実を知っている。すなわち、イーサリアムのトークノミクスは壊れているということだ」と述べた。
そしてヴィタリック氏が公表額を上回るペースでETHを売却し続けている事実こそが、この「壊れたトークノミクス」に対する最終的な回答であるとし、ETH価格は今後さらなる下落に向かうと結論づけている。
ただし、カルパー・リサーチは、特定の資産や企業の欠陥を指摘する「ショートレポート」を公開し、価格の下落から利益を得るアクティブ・ショートセラー(活動家空売り投資家)である。彼らは本レポートの公開と同時にETHのショートポジションを保有していることを明言しており、価格の下落に対して直接的な経済的インセンティブを持っていることには留意する必要がある。
投資家は、提示されたデータの正確性を検証すると同時に、発信者の立ち位置についても考慮する必要があるだろう。
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