ソラナ中心の財務戦略を本格始動
米国の不動産業界向けクラウドサービスを展開する「Janover Inc.(ジャノーバー)」は22日、社名を「DeFi Development Corporation(ディーファイ・ディベロップメント・コーポレーション)」へと変更し、同日にソラナを88,164 SOL(約1,150万ドル相当)追加購入したと発表した。これにより、累計保有量は251,842 SOL(評価額:約3,440万ドル)に達し、ソラナを中核とする財務戦略への本格移行を象徴づける動きとなった。
このソラナ購入は、4月4日に当時のジャノーバーとして取締役会で承認された新たなトレジャリーポリシーに基づくもので、同月10日から15日までに3回にわたり合計約2,010万ドル相当のソラナを購入している。今回の取引はその第4弾にあたる。4月中の総取得額は約3,620万ドル、発行済み株式約146万株で換算すると、1株あたりのSOL保有量(SPS)は0.17 SOL(約23.47ドル)となり、前回比62%の増加となった。
取得したソラナはすべて即時ステーキングに回され、ネットワークのセキュリティ強化に貢献すると同時に、保有資産からの利回り創出を狙う。CEOのジョセフ・オノラティ氏は、「透明性ある暗号資産(仮想通貨)の資本配分を、上場企業の文脈で実現する」と述べ、今後はSPSやステーキング報酬などの財務情報を公式サイトで定期的に開示していく方針を示している。
この戦略は、「Strategy(ストラテジー)」のビットコインを中核資産として長期保有する方針を、ソラナに読み替えた「ソラナ版ミラートレード」といえる。ただし、以下の二点で異なる。
- ステーキングによってフリーキャッシュフローを自家発電可能
- SOLの価格変動はBTCより大きく、減損リスクとリターンの双方が増幅
仮想通貨は会計上「無期限ののれん」と同じ処理をするため、価格下落時には減損損失が損益計算書へ直接影響する。一方で、貸借対照表上の資産をSOLに置き換え、ステーキングを通じて営業キャッシュフローを獲得することで、企業の評価軸を従来のP/S(株価売上高倍率)から、P/SOL(SOLベースの株価倍率)へと移行させる意図も読み取れる。
単一アセットへの集中投資はセクターETFを超える依存度を伴うため、ネットワーク停止や規制強化が発生するとバランスシートに甚大な影響が及ぶ可能性がある。それでも同社は、上場企業としてバリデーター運用に踏み込み、ステーキング報酬を投資家に可視化するという、「チェーンを支える公共財モデル」への挑戦を続けている。
今回の買い増しは単なるトレジャリー運用にとどまらず、株主を巻き込んだ分散型バリデータ資本主義の実証実験である。数字の変動に耐えうる投資家にとっては、企業価値創出の新モデルを観察する好機となるだろう。
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