国税庁は11日、令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)の所得税及び消費税調査状況を公表した。暗号資産(仮想通貨)取引を行っている個人に対する実地調査は613件で、前事務年度の535件から14.6%増加した。
申告漏れ総額は156億円、1件当たり2,538万円
暗号資産取引に関する申告漏れ所得金額の総額は156億円(前年度126億円)に達し、1件当たりの申告漏れ所得金額は2,538万円(前年度2,356万円)となった。追徴税額の総額は46億円(前年度35億円)で、1件当たりの追徴税額は745万円に上る。

これは所得税の実地調査(特別・一般)全体の1件当たり追徴税額299万円と比較して2.5倍の水準で、暗号資産取引が高額な申告漏れを招きやすい分野であることが浮き彫りになった。調査対象の93.8%にあたる575件で申告漏れ等が確認されている。
国税庁は今回の調査において、調査対象の選定にAIを活用し、効率的かつ的確に調査を実施したと説明している。所得税調査全体の追徴税額は1,431億円で過去最高を記録した。
暗号資産取引以外では、シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行っている個人への調査が1,155件実施され、申告漏れ所得金額は184億円、追徴税額は35億円となっている。国税庁は引き続き、インターネット取引や暗号資産取引に関する資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施する方針だ。




