米国のドナルド・トランプ大統領は21日、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)において、暗号資産(仮想通貨)市場構造法案について、近く署名したい考えを示した。同氏はこの法案が、米国人の経済的自由を得るための新たな道を開くと強調している。
暗号資産での優位確保を示す一方、法案を巡る課題も
トランプ氏はスピーチの中で、昨年ジーニアス法に署名した背景について述べた。1つ目は暗号資産業界からの支持を得るという政治的な狙い、2つ目はAIと同様に戦略的価値が高い暗号資産市場の主導権を中国に握らせないという国家戦略上の意図だ。さらに同氏は、暗号資産分野における国際競争の重要性を指摘し、米国の優位性を維持する姿勢を強調した。
市場構造法案への早期署名に意欲を示したことで、米国を世界の「暗号資産の首都」として維持・発展させる姿勢がより鮮明になった。今後は、ジーニアス法を踏まえつつ新法案を通じて、暗号資産をめぐる技術革新や金融面での活用を後押ししていく狙いがあるとみられる。
法案成立で銀行の参入が進む可能性、デジタル資産産業の形成も視野に
一方、ホワイトハウスでAI・暗号資産分野を担当するデビッド・サックス氏は、CNBCのインタビューにおいて、法案成立に向けた実務的な課題を指摘している。同氏はステーブルコイン保有者への報酬問題を巡り、銀行業界と暗号資産業界の間に依然として意見の隔たりがあると述べ、法案成立には双方に妥協が必要だとの認識を示した。
サックス氏は、報酬の仕組み自体はすでにジーニアス法に盛り込まれているとして、銀行側に対して現実を受け入れるべきだと主張した。一方で、暗号資産業界には法案全体の成立という大局的な視点を持つよう求めた。
また、サックス氏は市場構造法案が成立すれば、銀行が暗号資産業界に本格参入してくるだろうと予測。これにより将来的に銀行と暗号資産の境界線が消失し、両者が統合された「デジタル資産産業」が誕生する可能性を示した。
トランプ氏による市場構造法案への署名が実現すれば、銀行・暗号資産双方の業界にとって象徴的な一歩となるだろう。トランプ氏の強力な推進力を背景に、今後法案がどのように折り合いをつけて産業構造を塗り替えていくのかに注目していきたい。
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