米商品先物取引委員会(CFTC)のキャロライン・ファム委員長代理は4日、CFTCに登録された先物取引所において、暗号資産(仮想通貨)の現物取引が初めて開始されることを発表した。
規制方針を転換、明確なルール整備で市場開放
今回の発表は、ドナルド・トランプ政権が掲げる「イノベーションの黄金時代」の到来と、米国を「世界の暗号資産の首都」にするという公約に向けた重要な一歩となる。
これまで米国では、個人投資家向けのレバレッジ取引について、暗号資産市場への適用が不明確な状態が続いていた。
議会は15年前の金融危機後に改革を行い、レバレッジをかけた商品取引は先物取引所でのみ行うよう義務付けたが、CFTCはこの改革を暗号資産市場に対して十分に適用してこなかったという経緯がある。
ファム委員長代理は、CFTCがこれまで明確なルール作りを怠り、「執行による規制」に頼ってきた結果、「業界への巨額の罰金は生じたものの、一般投資家に安全な取引場所を提供できていなかった」と、従来のアプローチを批判している。
同氏は声明で、「海外取引所での最近の出来事(ハッキングなど顧客資産の安全性が脅かされた事例)は、アメリカ人が安全で規制された米国市場にアクセスできることの重要性を示している」と指摘。「今、史上初めて、現物暗号資産がCFTC登録取引所で取引可能となる」と述べた。
これにより、米国の投資家は、約100年にわたり「ゴールドスタンダード(=最も信頼できる)」とされてきたCFTC登録取引所の厳格な顧客保護と市場の誠実性の下で、暗号資産の現物取引を行えるようになる。
CFTCは、今後もデリバティブ市場におけるステーブルコインを含むトークン化された資産の利用や、ブロックチェーン技術の活用を可能にするための規制改正に取り組む方針であると明かした。米国において暗号資産、そしてブロックチェーン技術が既存金融システムと融合していく動きは、今後も続きそうだ。
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