純流入額は30億ドル、全体の2.8%を占める成長分野に
世界最大の資産運用会社「Blackrock(ブラックロック)」は11日、2025年第1四半期の業績報告において、暗号資産(仮想通貨)関連商品の純流入額が前年同期比で約188%増の30億ドル(約4,307億円)に達したと発表した。これは、同社の上場投資信託(ETF)シリーズ「iShares(アイシェアーズ)」への純流入額1,070億ドル(約15兆円)のうち、約2.8%を占める数字だ。
ブラックロック全体では、第1四半期に840億ドルの純流入があり、これは年間換算で3%のオーガニックな資産成長に相当する。この成長は、iSharesシリーズにおける過去最高の第1四半期パフォーマンスと、プライベートマーケットの堅調な動きに支えられている。
一方で、仮想通貨が同社全体に占める比率は依然として小さい。2025年3月31日時点で、ブラックロックが運用する仮想通貨の総額は503億ドル(約7.2兆円)で、同社全体の運用資産総額11.6兆ドル(約1,665兆円)のわずか0.5%にとどまっている。また、仮想通貨による基本手数料収入は3,400万ドル(約48億円)で、長期的な収益の1%未満である。
ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、今回の結果について「基本手数料の成長は前年比6%で、2021年以来最高のスタートとなった」と述べ、厳しい市場環境にもかかわらず、同社の成長基盤が揺るぎないものであることを強調した。
さらにフィンク氏は、「市場や政策の変化の中で顧客が適切にポジションを取れるよう支援するとともに、長期的な構造的成長機会への洞察を提供することに注力している」と述べ、顧客重視の姿勢を改めて強調した。
ブラックロックのような巨大プレイヤーが仮想通貨分野への投資を堅調に伸ばしていることは、市場全体にとって大きな意味を持つ。特に他社が資金流出に苦しむ中での安定的な流入は、投資家が長期的な視点で仮想通貨をポートフォリオに組み入れつつある兆候といえる。今後も仮想通貨の成熟とともに、大手資産運用会社の動向は市場全体の方向性を左右する重要な指標になるだろう。
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