米NYSEアメリカン上場企業「BitMine Immersion Technologies（ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ、以下ビットマイン）」は4日、イーサリアム（ETH）の保有量が83万3,137 ETHに達し、その評価額が29億ドル（約4,265億円）を超えたと発表した。同社は現在、世界最大のイーサリアム・トレジャリー企業となっている。
キャシー・ウッド氏ら著名投資家が支援、保有ゼロから35日で急拡大
ビットマインの保有量は、世界第2位のイーサリアム保有企業である「Sharplink Gaming（シャープリンク・ゲーミング）」の保有量約48万ETHを大きく上回る水準で、ビットマインが圧倒的な首位となっている。
ビットマインがイーサリアムトレジャリー戦略を開始したのは2025年6月30日で、初期フェーズは7月8日に完了。それからわずか35日間でゼロから83万ETH超へと急速に保有量を拡大した。こうした迅速な動きについて、取締役会会長のトム・リー氏は次のように述べている。
「ビットマインは、イーサリアム全体の5％を取得する『5％の錬金術』というビジョンのもと、わずか1カ月余りでこの水準に到達した。クリプト関連企業の中でも、1株あたりの純資産価値（NAV）の成長速度と、株式の高い流動性において際立った存在となっている。」
株式市場での流動性も特筆すべき点である。ビットマインの株式は、過去5営業日の平均日次取引額が16億ドル（約2,353億円）に達しており、これは米国上場企業5,704社中第42位の規模とされる。この順位は、「Uber Technologies（ウーバー・テクノロジーズ）」（第41位）に次ぐ位置にある。
また今回、著名な成長株投資家であるビル・ミラー三世が、同社に大規模な投資を行ったことも公表された。ミラー氏は、かつて「Strategy（ストラテジー）」がビットコインのトレジャリー戦略を発表した際にも早期に投資していた経験を持つ人物である。
「トム・リーとそのチームは、合理的な意思決定と独立した思考を兼ね備え、資本を適切に配分している。イーサリアムステーキングが稼働すれば、同社は利益性の面でも有望だと見ている」と、ミラー氏は評価している。
今回の発表により、ビットマインは世界の暗号資産（仮想通貨）業界における存在感を一層強めている。すでに、”破壊的イノベーション”への投資に特化した米投資会社「ARK Investment（アーク・インベスト）」の創業者、キャシー・ウッド氏をはじめ、著名投資家ピーター・ティール氏が率いるベンチャーキャピタル「Founders Fund（ファウンダーズ・ファンド）」、そして仮想通貨分野で長年にわたる運用実績を持つ「Pantera Capital（パンテラ・キャピタル）」などが支援に名を連ねている。
さらに、米国を拠点とする大手仮想通貨取引所「Kraken（クラーケン）」、大手仮想通貨関連グループ「Digital Currency Group（デジタル・カレンシー・グループ）」、およびデジタル資産の機関投資家向けサービスを手がける「Galaxy Digital（ギャラクシー・デジタル）」も、ビットマインの成長戦略に参加している。
このように、仮想通貨・テクノロジー分野で高い専門性と影響力を持つ機関投資家たちがビットマインの「イーサリアム5％戦略」を支援しており、今後の展開に注目が集まっている。
イーサリアムを企業財務に組み込む動きは、依然として新しい取り組みであるが、ビットマインのように明確な戦略と迅速な資産形成を実行する企業の登場は、市場に一定の信頼性と規律をもたらす可能性がある。ステーキングなどの活用が本格化すれば、仮想通貨は単なる投機対象から、企業価値創出の手段としてさらに進化することが期待される。
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※価格は執筆時点でのレート換算（1ドル＝147.08円）
