暗号資産(仮想通貨)取引所BitMEX(ビットメックス)は8日、2025年の無期限先物取引市場を総括するレポート「State of Crypto Perpetual Swaps 2025」を公開し、構造的なストレスや流動性ショックが市場を再編したプロセスを明らかにした。
市場が成熟し、投資家はより高度な運用戦略への転換が求められる
2025年の暗号資産デリバティブ市場は、長年信頼されてきた取引戦略が崩壊し、市場構造の脆弱性が露呈した一年となった。
レポートでは、特に2025年10月10日から11日にかけて発生した市場急落を「ADL(自動デレバレッジ)危機」と定義し、プロのマーケットメイカーにとって史上最も破壊的なイベントであったと分析している。この期間、暗号資産史上最大となる約190億ドル(約3兆円)規模の清算連鎖が発生し、市場の流動性供給網に深刻なダメージを与えた。
ビットメックスが指摘する2025年の市場における主なトピックは以下の通りだ。
- ADLフィードバックループの発生により、マーケットメイカーのデルタニュートラル戦略が破綻
- ファンディングレート(資金調達率)アービトラージの飽和に伴い、利回りが年利4%程度まで低下
- 利益没収を行う「B-Book(相対取引/販売所取引)」型取引所と、透明性の高い取引所間での信頼の乖離
- DEX(分散型取引所)におけるオラクル攻撃や価格操作による資産凍結リスクの顕在化
- 米国株などの伝統的金融資産を24時間取引できる「Equity Perps」への需要急増
特にファンディングレートの動向については、2024年に成功を収めた「エセナ
ENA」などのアービトラージ戦略が普及しすぎた結果、市場にショートポジションが溢れ、かつて二桁を維持していたパッシブな利回りが米国債利回りを下回る水準まで圧縮された。これにより、「投資家はより高度な運用戦略への転換を余儀なくされている」とレポートは指摘する。
また、DEX(分散型取引所)の台頭の一方で、流動性の低いトークンを狙った攻撃や、「Paradex(パラデックス)」による約21万9,000ドル(約3,440万円)規模の利益無効化騒動など、プラットフォーム側のガバナンスやリスク管理の欠如も浮き彫りとなった。
ビットメックスは、2025年の試練を経て市場はより成熟した段階に入ったと総括している。
今後はエヌビディアやテスラといった主要な米国株を、暗号資産を証拠金として24時間取引できる「Equity Perps」や、ファンディングレート自体の変動を取引する新しい金融商品の普及が進むと予測し、「市場の公正さと堅牢なインフラを備えた取引所のみが、次の成長フェーズで生き残る」との見解を示した。
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