暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの元CEOであるチャンポン・ジャオ(CZ)氏が、ビットコイン(BTC)を語る上で長らく信仰されてきた「4年サイクル」の終焉を示唆した。8日から9日にかけて開催された「Bitcoin MENA 2025」に登壇した同氏は、現在の相場環境が過去のビットコイン市場とは根本的に異なる点を強調している。
米国金融政策による株高がサイクル相殺か
これまでビットコインの強気相場は、一般投資家の参入が主導してきた。しかし、ビットコイン現物ETFの承認に象徴されるように、現在はウォール街を中心とした機関投資家が市場の中心に位置している。巨大な資金を動かす金融機関が主導権を握る構造へと転換が進むことで、サイクル構造を変化させているとCZ氏は指摘する。
さらにCZ氏は、4年サイクルを揺るがす要素として米国の政策環境を挙げた。同氏はドナルド・トランプ米大統領が株価を経済指標として重視する傾向に基づき、見込まれる金利引き下げや金融緩和が株式市場を押し上げる力を生み出すことを示唆。CZ氏はこの株高による流れが暗号資産市場に波及することで、4年サイクルを相殺するほどの強力な推進力が生まれる可能性を示している。
ただしCZ氏は、こうした変化がどのような形になるかを断定できないと慎重な姿勢も示した。その上で、マクロ経済の地合いが暗号資産にとって好転し始めている点を強調。同氏は2026年にも、ビットコイン市場が従来の予測が通用しない「スーパーサイクル」に突入する可能性があるとの見解も示している。
4年サイクルの終焉を示唆するのは、CZ氏だけではない。暗号資産運用会社グレイスケールもまた、11月公開のレポートで「4年サイクル説」を否定し、ビットコイン価格が2026年に高値を更新する可能性を予測している。同社は過去数か月の下落局面を強気相場における「典型的な調整」と分析し、半減期依存の価格サイクルから市場が脱却し始めているとの見解を示している。
市場参加者が注目してきた「4年サイクル説」は今、大きな転換点に立たされている状況だ。新たな資金の流れと政策環境がビットコイン市場の構造を変化させつつある中、今後の価格動向を読み解く難易度が一段と高まっている。
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