買い越しデータが上昇の信頼性を裏付け
大手オンチェーン分析プラットフォーム「Glassnode(グラスノード)」は14日、ビットコインの現物市場において、「スポット取引出来高デルタ(Spot Volume Delta)」の7日間単純移動平均がプラスに転じたことを報告した。これは、10万ドルを超える最近の価格上昇が、実際の現物市場における投資家の「強い確信」に裏打ちされていることを示唆しているという。
グラスノードの分析によると、ビットコインのスポット取引出来高デルタの7日間単純移動平均は、最近プラス圏に浮上し、50億ドル(約7,300億円)という局所的な高水準を記録。スポット取引出来高デルタとは、特定の期間における現物市場でのビットコインの買い取引量と売り取引量の差を測定する指標である。この指標がプラスであれば買い圧力が売り圧力を上回っていること(買い越し)を、マイナスであれば売り圧力が買い圧力を上回っていること(売り越し)を示唆する。
グラスノードは、「このような積極的なネットテイカー需要(市場価格で即座に取引を成立させようとする買い注文が売り注文を大幅に上回る状態)は、今年に入って数回しか観測されていない」と指摘。また、このデータは、ビットコイン価格が心理的な節目である10万ドルを超えて上昇した動きが、単なる投機的な短期取引だけでなく、現物市場での力強い買い越しによって支えられていることを裏付けるものだとしている。
さらにグラスノードは同日のポストで、ビットコインの「実現キャップ(Realized Cap)」に関する分析も発表した。実現キャップとは、各ビットコインが最後に移動した時の価格で評価した時価総額であり、投機的な価格変動の影響を除いた、より実体経済に近いネットワーク価値を示すとされる指標だ。
同社の分析によると、ビットコインの実現キャップは、直近1ヶ月ほどで約300億ドル(約4兆3,815億円)増加し、現在は月間約3%のペースで成長しているという。グラスノードはこの動きを「新たな資本が市場に流入し始めていることを示すものだ」と説明している。ただし、その成長ペースは「2024年11月から12月にかけて見られたような、非常に積極的な資金流入・蓄積の勢いにはまだ及ばない」とも付け加えている。
最近のビットコイン価格は10万ドルの大台を再び突破するなど、勢いを増している。グラスノードが示す複数のオンチェーン指標は、この価格上昇の背景に現物市場での実需が存在する可能性を示しており、今後の市場動向を占う上で重要なデータとなりそうだ。
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