オンチェーン分析企業グラスノードは12日、米連邦準備制度理事会(FRB)が11日午前4時(日本時間)に決定した利下げ決定について、利下げ自体は市場に織り込み済みだった一方、今後の追加利下げペースは不透明だと指摘した。
FRBは日本時間11日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25%引き下げ、新たな目標レンジを3.50%〜3.75%とすることを決定している。
ビットコインオプション、ボラティリティ低下も下落リスクへの警戒は残る
FOMC通過後、ATMのインプライド・ボラティリティ(IV)は1週間から6カ月にかけて低下した。IVは将来の価格変動の大きさに対する市場の予想を示す指標であり、FOMCというイベントが通過したことで、市場が一旦落ち着きを取り戻したことを意味する。
また、IVの低下を示す指数であるDVOLも同様に低下しており、イベント通過後にボラティリティ供給が戻った可能性や、ヘッジやエクスポージャー獲得の緊急性が後退した可能性を示している。
一方、25デルタ・スキューは約10%前後で推移しており、プットがコールよりも割高な状態が続いた。25デルタ・スキューはプットオプション(売る権利)とコールオプション(買う権利)の需要の差を示す指標で、プラスの場合はプット需要が高いことを意味する。
オプションの建玉(未決済のポジション)を見ても、プットオプションの割合が高い状態が続いており、市場参加者が依然として下落リスクを警戒していることがわかる。
フロー面ではプットへの偏りが目立つが、オプション建玉のプット/コール比は数週間かけて上昇しており、FOMC通過後もプット側に傾いた状態が続いた。ただし、当日の朝にオプションの満期を迎えた分のヘッジが解消され、比率は一時的に低下した。加えて、過去7日ではテイカープレミアムの約60%がプットに向かっており、成行主体の取引でも下落への備えが優勢である。
グラスノードは、FOMC通過後にIVは低下した一方で、下落リスクは一貫して価格に残っていると分析。スキューとフローのデータでは、上値の余地が限定的なレンジ相場を想定しつつ、政策イベントよりもマクロ要因への反応が続く市場環境を示しているとまとめた。
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