暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは1日、ハッキングによる資金流出を受けて止めていた出金を段階的に再開した。日本時間15時に再開を始め、21時36分までに第1段階の対象とした15のネットワーク・資産すべてで出金を再び開いた。同社によると、再開から約9時間半の純流出は約36.4億ドル(約5,743億円)で、預かり資産の2.1%にあたる。
バイナンスの出金、ビットコインから順に15ネットワークで再開
同社は1日13時8分(日本時間)、公式サイトに4回目となる報告を掲載し、出金の第1段階を同日15〜18時に再開する準備を進めていると公表した。対象は、過去1週間の利用者の需要をもとに優先順位を付けた15のネットワークと資産で、ほかは準備ができ次第加えるという。
15時20分のXの投稿では、最初に開いたのはビットコイン(BTC)
BTCのネットワークだと説明した。16時49分にはイーサリアム(ETH)
ETHのネットワークと、BNBスマートチェーン(BSC)で出金を再開したと知らせた。
| 公式Xの投稿時刻(日本時間) | 新たに再開したネットワーク | 資産 |
|---|---|---|
| 1日15時20分 | ビットコイン | BTC |
| 16時49分 | イーサリアム | ETH、USDT、USDC |
| 16時49分 | BSC | BNB、USDT、USDC |
| 18時38分 | XRP | XRP |
| 18時38分 | Base(ベース) | ETH、USDC |
| 19時3分 | ドージコイン | DOGE |
| 19時3分 | Optimism(オプティミズム) | ETH、USDT、USDC |
| 19時48分 | Arbitrum(アービトラム) | ARB、ETH、USDT、USDC |
| 19時48分 | トロン | TRX、USDT |
| 20時15分 | ソラナ | SOL、USDT、USDC |
| 20時31分 | ポリゴン | POL、USDT、USDC |
| 20時31分 | アバランチのC-Chain(スマートコントラクトを動かすチェーン) | AVAX、USDT、USDC |
| 21時36分 | Zcash(ジーキャッシュ、ZEC) | ZEC |
| 21時36分 | TON | USDT、GRAM |
| 21時36分 | スイ | SUI |
2日1時12分の投稿で同社は、1日21時36分までに第1段階の15すべてで出金を再開したと説明した。残りのネットワークと資産は試験を続けており、次の段階の詳細はできるだけ早く知らせるとしている。
1日15時53分には、準備金証明(Proof of Reserves)で公開しているアドレスの一覧に、新しく作ったウォレットアドレスを加えたと告知した。今後の出金は、すべて新しいアドレスから処理するという。
共同最高経営責任者(CEO)のイー・ハー氏は1日16時18分、申請が多ければ混雑もありうるとしつつ、出金は比較的順調に進んでいるとXに投稿した。出金の前に、送り先のアドレスと、新しい端末や環境の安全を確かめるよう呼びかけている。
バイナンスの純流出は約36.4億ドル、預かり資産の2.1%
2日1時12分の投稿によると、1日15時〜2日0時30分(日本時間)の約9時間半に処理した出金は46.49億ドル(約7,335億円)、入金は10.1億ドル(約1,593億円)だった。差し引きの純流出は約36.4億ドルになる。
同社はこの純流出を、10月28日時点の準備金証明のデータにもとづく預かり資産(AUM)1,710億ドル(約27兆円)の2.1%と説明した。
出金は最初の急増のあと減り、想定どおり落ち着きつつあるという。入金は大きいままだとしている。
投稿に添えたグラフでは、30分ごとの出金が最も多かったのは1日17時(日本時間)からの30分間で、7.33億ドル(約1,156億円)だった。
バイナンスの補填は約95%に、準備金証明は証明の生成中
1日の報告で同社は、影響額の約95%を補填したと明らかにした。10月31日4時33分(日本時間)の報告(バイナンスの出金再開計画)では約80%、同日23時24分の報告では約90%としていた。
残りの5%は、BTC、ETH、USDT
USDT、BNB
BNB、SOL
SOL、USDC
USDC、XRP
XRP、USD1
USD1、RLUSD
RLUSD、ZEC
ZECの10銘柄以外の、流動性の低いトークンだ。同社はこれらを市場と相対取引(OTC)で買い付けている。10銘柄の残高は100%裏付けられているとする。
準備金証明は、10月31日9時(日本時間)に新しいスナップショットを取った。同日23時24分の報告によると、10銘柄のいずれかを持つ利用者が自分の資産に1対1以上の裏付けがあると確かめられるゼロ知識証明の生成には約40〜50時間かかり、3日(UTC)までに終わる見込みだ。
10月31日4時33分の報告では、準備金証明の結果を2日までに用意する計画としていた。
2日1時12分の投稿では、更新した報告書を翌日に準備金証明のサイトで出す見込みとした。日付は示していないが、JinaCoinが投稿時刻(UTCで1日16時12分)から数えると、2日(UTC、日本時間2日9時〜3日9時)にあたる。
執筆時点(2日9時40分、日本時間)の準備金証明のサイトは、監査時刻を10月31日0時(UTC、日本時間同日9時)とし、BTCの比率を100.04%、USDCを106.08%などと表示している。一方、利用者の検証に使うマークルルートのハッシュは「In Progress」(処理中)だった。
同社は1日の報告で、調査が終わったあとに事後報告書を公表するとした。時期は示していない。盗まれた資金の損失は利用者に負わせないとも改めて記している。
バイナンスジャパンも暗号資産の出庫を順次再開
国内のBinance Japan株式会社(バイナンスジャパン)は1日15時21分(日本時間)のお知らせで、予防的に止めていた暗号資産の出庫(バイナンスジャパンの入出庫停止)を順次再開したと公表した。入庫、販売所・取引所での取引、法定通貨の入出金は通常どおりとしている。
同社は、10月30日にウォレットシステムと残高を点検し、預かっている顧客の資産がすべて安全に保管されていると確認したと改めて説明した。1日の発表時点で、顧客資産への影響は確認されていないという。
金融庁は2021年6月、無登録で暗号資産交換業を行う者として、海外のバイナンスを運営するBinance Holdings Limitedに警告書を出した(金融庁が警告した無登録業者の一覧)。国内の登録業者であるバイナンスジャパンとは別の会社だ。
金融庁の警告無登録業者
Binance Holdings Limited警告2回
- 警告書の掲載
- 2018年3月、2021年6月
- 所在地(当時)
- 不明(海外)
掲載内容は、金融庁が警告書を出した時点のもの。現在も同じ状況であることを示すものではありません。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.77円)
