暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは2日、ハッキングによる資金流出のあとに取った10月31日時点の準備金証明(Proof of Reserves)について、ゼロ知識証明の生成を終えたと公表した。対象は10銘柄で、流出前の10月1日分の55銘柄から減った。同社によると、10銘柄を持つ利用者は、自分の残高が1対1以上で裏付けられているかを自分で確かめられる。3日には、出金の第2段階として、9つのネットワークの銘柄を日本時間13時から順次再開するとも発表した。
バイナンスの準備金証明、対象は流出前の55銘柄から10銘柄に
同社の準備金証明のサイトでは、流出後の10月31日0時(UTC、日本時間同日9時)のスナップショットの対象は10銘柄だ。同じサイトに残る流出前の10月1日0時(UTC)のスナップショットは55銘柄を対象としており、そのうちの10銘柄に減った。
10銘柄は、ビットコイン(BTC)
BTC、イーサリアム(ETH)
ETH、USDT
USDT、BNB
BNB、ソラナ(SOL)
SOL、USDC
USDC、XRP
XRP、USD1
USD1、RLUSD
RLUSD、Zcash(ジーキャッシュ、ZEC)
ZECだ。比率はいずれも100%以上だった。
| 銘柄 | 10月31日分の比率 | 10月1日分の比率 |
|---|---|---|
| BTC | 100.04% | 100.35% |
| ETH | 100.00% | 100.00% |
| USDT | 100.00% | 103.88% |
| BNB | 101.30% | 100.47% |
| SOL | 100.00% | 100.00% |
| USDC | 106.08% | 108.26% |
| XRP | 100.99% | 100.77% |
| USD1 | 100.04% | 101.11% |
| ZEC | 103.23% | 103.36% |
| RLUSD | 100.83% | 104.07% |
同社は、次のスナップショットを4日に、対象の銘柄を増やして取る予定だ。ゼロ知識証明の生成には約40〜50時間かかる見込みだという。
5回目の報告では、補填した額を影響額の約95%とし、1日の報告と同じ数字を改めて示した。残る5%は10銘柄以外の流動性の低いトークンだ。必要な量をそろえるのに時間がかかり、業界のパートナーと調達を続けているという。
同社は2日21時45分(日本時間)、公式サイトに5回目となる報告を掲載した。10月31日分の10銘柄について、ゼロ知識証明の生成を見込みの期間内に終えたという。
同社の説明では、マークルツリーで各利用者が自分の残高がスナップショットに含まれていることを確かめ、zk-SNARKと呼ぶゼロ知識証明で、個々の残高を明かさずに準備金が1対1以上あることを示す。検証には、ログインしたうえで、公開されている検証ツールを自分のパソコンに入れる必要がある。
執筆時点(3日11時55分、日本時間)の準備金証明のサイトでは、10月31日分の検証に使うマークルルートのハッシュが表示されている。2日9時40分ごろ(日本時間)の時点では「In Progress」(処理中)だった。
10月31日4時33分(日本時間)の報告では、準備金証明の最初のスナップショットを取り、結果を2日までに用意する計画としていた。同日23時24分の報告では、スナップショットはサイトに反映済みとし、ゼロ知識証明の完成の見込みを3日(UTC)までとした。
バイナンスの出金、第2段階は9ネットワークで
同社は3日11時30分(日本時間)、6回目の報告をXに投稿し、出金の第2段階を同日4時(UTC、日本時間13時)から始めると発表した。1日に始めた第1段階(バイナンスの出金一部再開)に続くもので、入金は影響を受けていないとした。
対象は9つのネットワークで、JinaCoinが一覧を数えると、銘柄とネットワークの組み合わせは103になる。BNBスマートチェーン(BSC)上のbSTOCKSも、すべて出金の対象にするという。同じように数えると、第1段階は15のネットワーク・33の組み合わせだった。
| ネットワーク | 組み合わせの数 | 銘柄の例 |
|---|---|---|
| イーサリアム | 38 | RLUSD、USD1、ENA、LINK、BTC |
| BSC | 31 | BTC、ETH、XRP、ADA、LTC |
| ソラナ | 22 | USD1、PUMP、JUP、TRUMP |
| Base(ベース) | 4 | ZEN、MIRA、HOME、AWE |
| Sui(スイ) | 2 | USDC、HAEDAL |
| Arbitrum(アービトラム) | 2 | CHIP、ANIME |
| Optimism(オプティミズム) | 2 | OP、WCT |
| XRPレジャー(XRPL) | 1 | RLUSD |
| トロン | 1 | TUSD |
第1段階と同じく、すべてが一度に開くわけではない。過去1週間の利用者の需要をもとに優先順位を付け、安全確認を終えたものから順に再開する。
出金できるかは、出金画面かネットワークの状態ページで確かめるよう求めている。混雑で処理が遅れることがあり、出金が通らない場合は少し待ってから再び試すよう案内した。
同社は詐欺への注意も呼びかけている。2日23時35分(日本時間)の公式Xの投稿では、DMやメール、グループチャット、少額の送金に添えたメッセージでバイナンスを装う手口を挙げた。
共同最高経営責任者(CEO)のリチャード・テン氏は3日0時3分(日本時間)、優先処理や補償の請求をうたう偽者が出ているとXに投稿した。同社から先に連絡することはなく、出金を早めるための料金や、出金のための署名・資金の移動を求めることもないという。
バイナンスジャパンの出庫、2日時点で8銘柄が全面再開
国内のBinance Japan株式会社(バイナンスジャパン)は2日17時3分(日本時間)のお知らせで、同日16時(日本時間)時点の状況を公表した。暗号資産の出庫は、BTCやETH、XRPなど8銘柄が全面的な再開となった。
3銘柄は、扱う複数のチェーンのうち一部だけで再開した。54銘柄は再開していない。入庫(本件と関係なく以前から止まっている3銘柄を除く)と取引、法定通貨の入出金は通常どおりで、顧客資産への影響は確認されていないという。
金融庁は2021年6月には、無登録で暗号資産交換業を行う者として、海外のバイナンスを運営するBinance Holdings Limitedに警告書を出した(金融庁が警告した無登録業者の一覧)。国内の登録業者であるバイナンスジャパンとは別の会社だ。
金融庁の警告無登録業者
Binance Holdings Limited警告2回
- 警告書の掲載
- 2018年3月、2021年6月
- 所在地(当時)
- 不明(海外)
掲載内容は、金融庁が警告書を出した時点のもの。現在も同じ状況であることを示すものではありません。
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