実需と収益還元を実現するアルトコインにも関心
暗号資産(仮想通貨)取引所「BitMEX(ビットメックス)」の共同創業者であるアーサー・ヘイズ氏は15日、自身のエッセイを更新。世界の金融市場が国家優先の政策により分断化していく中で、ビットコインが国境を越えた価値移転と保全の手段として重要性を増していくと強調した。
ヘイズ氏はエッセイの中で、米中関係の悪化やアメリカの金融政策が今後の金融市場の分裂を引き起こすと予測。各国が自国の経済保護を優先することで、資本の国外流出を防ぐために規制強化が進んでいく可能性に警鐘を鳴らした。資本規制が強化される状況下では、従来のように利回りの高い資産に自由にアクセスすることが難しくなるとし、投資家の行動にも変化が求められるとみているようだ。
その一方でヘイズ氏は、ビットコインはインターネットを介した自由な取引、中央集権的な仲介を必要とせずに迅速な価値移動が可能な点から「デジタルベアラー資産(保有者が権利者)」と評価。政府によるビットコインに対する規制が強化されたとしても、銀行システムに依存しないOTC市場を通じて流通は継続するとしている。
また同氏は、米国内の現体制に対する不満もビットコインへの支持を後押しすると分析している。特にトランプ陣営は1971年以降の米国債を基軸とする現体制が、一部の層にしか利益をもたらさなかったと考えていると主張。さらに、米国債が額面通りに償還されても、インフレによりその価値が実質的には目減りしているため、事実上の債務不履行(デフォルト)が進行していると指摘。2008年の金融危機以降に行われた大規模な金融緩和策が、このインフレ圧力を強める結果となったと強調している。
ヘイズ氏はこうしたインフレ圧力や各国による資本規制、米国債の実質的な価格低下などが、ビットコイン価格を2028年までに100万ドルに押し上げる要因につながる可能性があると予測。さらに、海外のポートフォリオ資産33兆ドルのうち、その10%が今後数年間でビットコインに流入すれば、現在のビットコインの市場規模(約3,000億ドル)と比較して、価格は10倍以上に跳ね上がる可能性があるとの見解も示した。
同氏は今後、プロトコル利用者が実際に金銭を支払う製品・サービスを持ち、その利益がトークン保有者に還元されるような「質の高いアルトコイン」が注目されると主張。ヘイズ氏は具体例としてPendle(PENDLE)やEther.fi(ETHFI)などを挙げており、これらのアルトコインがビットコイン以上の投資収益を生む可能性を示唆した。
ビットコインは国境を越えた資産保全手段としての立場を強化しつつあり、今後の世界経済の構造変化において重要な役割を果たす可能性がある。ヘイズ氏の語るとおり、ビットコインが救命ボートとして不安視される世界情勢から投資家を救うことになるのか、今後市場でのさらなる注目を集めそうだ。
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