ステーブルコイン流通量2,000億ドル突破、前年比57%増=Artemis

ヤマダケイスケ
12 Min Read
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イーサリアムやソラナが供給量増加を牽引

オンチェーンデータ分析プラットフォーム「Artemis(アルテミス)」は4日、2025年初となるステーブルコイン市場レポートを発表した。レポートによると、ステーブルコインの流通量は前年比57%増加となる2,000億ドルを突破し、暗号資産(仮想通貨)市場におけるステーブルコインのユースケースが拡大し続けていることが明らかになった。

レポートでは、特にEthereum(イーサリアム)の供給量増加が顕著であることが強調されている。イーサリアム上のステーブルコイン供給量は過去1年間で450億ドル増加し、市場を牽引し続けている。一方、Tron(トロン)やSolana(ソラナ)といった主要チェーンにおいても供給量は増加傾向にあり、特にソラナの供給量は過去最高となる100億ドルを突破した。ソラナでは、新規ステーブルコインの導入や取引量の増加が供給拡大の要因となっている。

ブロックチェーン別のステーブルコイン供給量
出典:アルテミス

この供給量の増加を後押しした要因として、仮想通貨プロジェクトの活発な動きも大きく影響している。トロン上のP2P取引アプリ「ElDorado(エルドラド)」は、低コストのUSDT売買を実現し、2024年2月と比較して取引量が4倍に増加した。また、Polygon(ポリゴン)の分散型予測市場「Polymarket(ポリマーケット)」は、ポリゴンのステーブルコイン転送量のうち3番目に多いシェアを占め、ステーブルコイン流通を支える存在となっている。

さらに、2024年第3四半期時点で、供給量1,000万ドル以上のステーブルコインプロジェクトが70を超え、市場の多様化が進んでいる。これらの流通量の多くは、仮想通貨を担保として発行されたステーブルコインによるものだが、市場全体で見ると、供給量の90%以上は依然としてUSDT(Tether)やUSDC(USD Coin)などの法定通貨に裏付けられたステーブルコインが占めている。2021年から2022年にかけて仮想通貨担保型ステーブルコインが成長する動きも見られたが、その後は縮小傾向にあり、法定通貨担保型のシェアがさらに拡大している。

ステーブルコインのシェア率
出典:アルテミス

レポートでは、特にソラナ上でのステーブルコイン供給量の急増に注目。供給量の増加要因の一つとして、ドナルド・トランプ大統領の公式ミームコインである「TRUMP(Official Trump)」を挙げている。仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」ではTRUMPリリース後、ステーブルコイン流通量が20億ドル以上増加。さらに「Meteora(メテオラ)」をはじめとしたソラナ基盤のDEX(分散型取引所)でも供給量の増加が見られたという。

ソラナにおけるステーブルコインの供給量
出典:アルテミス

また、USDC発行元の「Circle(サークル)」は、マーケットメイカー「Wintermute(ウィンターミュート)」に14億ドル以上ものUSDCを発行し、ウィンターミュートはそのUSDCを活用して、TRUMPを取り扱う複数のDEXに流動性を提供した。この点もステーブルコイン供給量増加を後押しする要因になった。

これからも革新的な技術やさまざまなユースケースが統合されていく中で、ステーブルコインは仮想通貨市場の発展における中心的な存在としてその役割を一層強化していくことだろう。すでに大きな成長を遂げているステーブルコイン市場だが、2025年にはさらなる市場拡大に期待したい。

関連:ステーブルコイン市場、供給量2,000億ドル超で過去最高を記録
関連:サークル、アプトスでネイティブUSDC導入|ブリッジ不要で利用可能に

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
Leave a Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA