わずか3時間で異常取引を検知・対処し透明性を示す
分散型取引プロトコルの「Aerodrome(エアロドローム)」は29日、「Venice Token(VVV)」の取引において「疑わしい取引活動」を検知し、内部調査を開始したと発表した。エアロドロームは、問題発覚からわずか3時間以内に2名の内部関係者の活動を停止し、引き続き調査を進めている。
近年、暗号資産(仮想通貨)分野では、新規トークンがローンチされるたびに市場にひと波乱起きている。本稿では、当該トークンに関連する経緯や背景を整理する。
エアロドロームは、Base(ベース)ネットワーク上で運営される分散型取引プロトコルで、今回はその取引所内で取引されたVVVトークンに関して問題が発生した。VVVトークンは、「Venice.ai(ヴェニス.ai)」というプライバシー重視のAIプラットフォームのユーティリティトークン。総供給量は約1億枚で、その一部は登録ユーザーへのエアドロップを通じて配布されている。また、相当数はヴェニス.aiのAIプロトコル用に割り当てられており、エコシステムの成長を支える設計となっている。
エアロドロームの発表によると、VVVトークンのローンチ直後に取引が活発化し、一部の取引において異常なタイミングが検出された。エアロドロームの監視システムは、ローンチ後わずか30分以内に「疑わしい取引」をフラグ付けし、内部調査が開始された。結果として、ローンチから3時間以内に2名の「内部関係者」の活動が停止された。
仮想通貨市場では、新規トークンがローンチされるたび、多くの投資家が値上がり益を期待して殺到するため、一時的に取引量が急増する。特に、エアドロップや高い将来性が宣伝されるプロジェクトでは、さらに大きな熱狂が生まれる。このような“祭り”の最中では、情報格差を利用した取引や不正行為が起こりやすい。
現在の仮想通貨市場では、風説の流布やインサイダー取引に関する規制整備が追いついておらず、不確かな情報が流通しやすい。ローンチ直前や直後に重要情報を先取りした内部関係者が、特定の優位性を得て売買を行う行為は、インサイダー取引に該当する可能性がある。今回の調査では、内部情報の不正利用が疑われる取引が発生した可能性が浮き彫りとなった。
エアロドロームの監視システムは、疑わしいアクティビティをリアルタイムでフラグ付けし、3時間後には対象者を活動停止し、それをすぐさま公表した。この迅速な対応は高く評価されている。現在、貸金庫不正問題で揺れる三菱UFJ銀行などとは比べものにならないメカっ速さだ。ブロックチェーン技術による高い追跡可能性と、エアロドロームの高い企業倫理が功を奏したものといえる。
内部者の不正行為が疑われる場合、三菱UFJ銀行やフジテレビのように問題を隠蔽しようとするリスクが懸念される。だが、エアロドロームは調査開始の段階から情報を積極的に開示し、関与した「内部関係者」を速攻で活動停止処分とした。ガバナンスを高度に重視した姿勢を示すことで、同社は市場からの信頼を維持できる公算が高い。
関連:【Base基盤DEX】Aerodrome(エアロドローム)の使い方
関連:Base上のDeFi「エアロドローム」、TVL10億ドル突破し急成長