ブテリン氏ら提唱のプライバシーツール「Privacy Pools」、イーサリアムで稼働

伊藤 将史
11 Min Read
画像はFreepikのライセンス許諾により使用

規制遵守とプライバシー保護の両立

イーサリアムのベテラン開発者らによって構成される「0xbow(オックスボウ)」は3月31日、オンチェーンのプライバシーを保護する新たなツール「Privacy Pools(プライバシープール)」をイーサリアムメインネット上で正式に稼働開始した。

プライバシープールは、複数の暗号資産(仮想通貨)取引を混ぜ合わせることで匿名性を高め、資金の出所をわかりにくくすることでプライバシーを保護するミキシングツールの一種。ミキシングツールといえば、マネーロンダリングへの悪用がたびたび報じられている「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」がよく知られている。プライバシープールは、そういった従来のミキシングツールに規制遵守のための仕組みを搭載した、”良い取引”のためのプライバシー保護ツールである。

このプロトコルは、イーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏やトルネードキャッシュ創業者アミーン・ソレイマニ氏、「Chainalysis(チェイナリシス)」の主任研究員ジェイコブ・イルム氏らが2023年に共同執筆した論文を基に開発された。ブテリン氏を始め、「Bankless Ventures(バンクレスベンチャーズ)」など複数の機関やエンジェル投資家から投資を受けたプロジェクトである。

プライバシープールは、ゼロ知識証明とAssociation Set Provider(ASP)という技術を用いて、プライバシー保護と規制遵守を両立している。ユーザーはゼロ知識証明を使用して、ERC20トークンを匿名で預け入れ・引き出し可能だ。ASPは、規制や社会的基準に沿って信頼できるアドレスのグループを定義する。ユーザーは、自分の資金がそのグループに属することをゼロ知識証明で示すことで入金できる。これにより、プライバシープールには健全な資金のみが参加できる仕組みとなっており、利用者がマネーロンダリングなどの”悪い”取引と無関係であることが保証されるのだ。

イーサリアムなどのパブリックブロックチェーン上の取引は基本的にはすべて公開されているため、プライバシーに配慮した取引方法を求める声は多い。一方で、そういった取引を可能にする従来のミキシングツールはマネーロンダリングなどへの悪用が懸念されており、”良い”取引だけを行う一般的なユーザーは利用することを躊躇してしまうものでもあった。

取引のプライバシーを保護しつつ、マネーロンダリングなどの”悪い”取引に巻き込まれる危険性を排除できるプライバシープールは、仮想通貨を用いた資金の移動をより広範な用途に使用するための第一歩といえるものだろう。

執筆時点では預け入れ可能な金額が1 ETHまでとなっているなど、プライバシープールはまだ試験段階にある。同プロジェクトの発展と普及により、さらに仮想通貨取引が広まることに期待しよう。

関連:Bybit、コールドウォレット大規模ハッキング|約14億ドル相当が流出
関連:チェイナリシス、日本語版「暗号資産犯罪レポート」公開──詐欺被害が拡大

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
Leave a Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA