YZi Labs(旧Binance Labs)、初のAI投資
「Binance Labs(バイナンスラボ)」からリブランディングを行った投資機関「YZi Labs(ワイジーラボ)」は25日、AIデータの所有権と相互運用性を推進するプロジェクト「Vana(ヴァナ)」への投資を発表した。投資額は公表されていない。
現在、個人が生成するデータの大部分の価値は、一部の大企業によって独占されている。データ提供者自身がその恩恵を十分に受けられていないのが現状である。
そこで登場するのがヴァナだ。個人が自らのデータを管理しながらAIの発展に貢献し、報酬を得られる新しいデータ経済を構築しようとしている。ヴァナはEVM互換のレイヤー1ブロックチェーンを基盤とし、個人がデータの使用方法を決定し、その価値を直接享受できる仕組みを提供する。「DataDAO(データダオ)」と呼ばれる分散型データ管理システムを活用し、安全なデータ共有やAIトレーニングへの貢献を可能にすることで、データの民主化と新たな経済圏の創出を目指している。
今回の投資は、ワイジーラボのリブランディング後初のAI関連投資となる。また、ヴァナのチームには、バイナンスの創業者で元CEOのCZ(チャンポン・ジャオ)氏がアドバイザーとして加わる。
今回の資金調達により、ヴァナはデータダオ・エコシステムの開発と拡大を加速させる方針を示した。現在、16以上のデータダオがヴァナネットワーク上で独自のデータトークンを発行する準備を進めており、さらなるデータ提供者の参入を促進する。また、金融、ソーシャルメディア、ヘルスケア、モビリティなどさまざまな業界への展開も視野に入れている。
ヴァナの共同創設者であるアンナ・カズラウスカス氏は、「次世代AIのトレーニングにおいて、データは競争優位性をもたらす要素となる。(中略)競争の激化に対応するには、高品質なプライベートデータへの継続的なアクセスが不可欠であり、ヴァナはそのニーズを満たすプラットフォームとして機能する」と述べた。
データ主権の確立とAIの発展は、今後のデジタル経済において不可欠な要素となる。ヴァナの取り組みは、個人がデータの価値を享受し、AIの進化を支える新たなエコシステムを創出する重要なステップである。今後、どのようにこの技術が浸透し、影響を与えていくのか、その展開に注目したい。
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