ドナルド・トランプ氏が第2次政権を発足させてから1年が経過し、大統領一家の資産構成に劇的な変化が生じている。19日にブルームバーグが報じた分析によると、トランプ一族は過去1年間で、新たに立ち上げた暗号資産(仮想通貨)関連プロジェクトから約14億ドル(約2,212億円)の利益を創出した。
暗号資産の利益をSNS事業が相殺、総資産は横ばいに
この利益は一族の総資産の約2割に達する規模だが、SNS「トゥルース・ソーシャル」を運営するトランプ・メディア(TMTG)の株価が66%急落したことで相殺された。結果として、一族の総資産は約68億ドル(約1兆円)と、前年並みにとどまっている。
かつては不動産とライセンス事業が中心だったトランプ・オーガニゼーションだが、この1年で収益構造は様変わりした。「暗号資産の首都」を目指す政権の方針が、自身の資産ポートフォリオにも色濃く反映された形だが、既存のメディア事業の不振が全体の資産拡大を阻んだ格好だ。
収益を支える3つの暗号資産事業
暗号資産分野での資産拡大を牽引したのは、主に3つの新規プロジェクトである。まず、トランプ氏と息子たちが共同設立したプラットフォーム「ワールド・リバティ・フィナンシャル」だ。同社はドル連動型ステーブルコイン「USD1」を発行するほか、3月までに約5億5,000万ドル(約869億円)相当のトークンを販売し、一族に約3億9,000万ドル(約612億円)の利益をもたらした。
2つ目は、第2次政権の発足直前に立ち上げられた、トランプ大統領の名を冠したミームコイン「トランプコイン
TRUMP」である。価格変動や流動性の低さによる評価減を考慮しても、一族の保有額は約2億8,000万ドル(約442億円)の価値があると試算されている。
3つ目はビットコイン・マイニング事業への参入だ。エリック氏とドン・ジュニア氏は、上場マイニング企業ハットエイト社と提携し「アメリカン・ビットコイン」を設立した。ハットエイト社から機材提供を受ける代わりに過半数の株式を譲渡するスキームで、株価はピーク時から下落したものの、エリック氏の保有分だけでも依然として約1.1億ドル(約173億円)を超える価値を維持している。
規制緩和と利益相反の懸念
トランプ政権下での規制緩和は、これら事業の追い風となっている。政権による暗号資産関連法の署名や、業界に友好的な規制当局者の任命により、事業環境は好転した。一方で、購入者の匿名性が保たれるトークン販売には、利益相反の懸念も指摘されている。
トロン創設者ジャスティン・サン氏との会食や、恩赦を受けたバイナンス創設者チャンポン・ジャオ氏に関連する企業からの技術支援など、政策とビジネスの境界線を巡る議論は絶えない。だが、ホワイトハウス報道官はこれら利益相反の可能性を強く否定している。
トランプ政権2期目では、一族の資産形成と政策が密接に結びつき、規制人事や法整備が関連ビジネスを後押しする。市場には強気材料となる一方、政治的不確実性も増大する。関連銘柄は事業価値だけでなく政権動向に左右される点に注意が必要だ。
関連:トランプ支援WLFI、財務基金の一部をUSD1普及促進に充てる提案を可決
関連:トランプ息子企業、ビットコイン5,098枚保有で上場企業トップ20入り
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.7円)




