Tether支援のもと、Twenty OneとCantorが合併へ
ステーブルコイン「USDT」の発行企業「Tether(テザー)」が、過半数の株式を保有するビットコイン投資企業「Twenty One Capital(トゥエンティ・ワン・キャピタル)」のために約4億5,870万ドル相当(約675億円)のビットコインを購入していたことが、13日に米証券取引委員会(SEC)へ提出された書類により明らかとなった。
今回のテザーによるビットコイン購入は、投資会社「Cantor Equity Partners(キャンター・エクイティ・パートナーズ)」が提出した現況報告書により判明したもので、同社とトゥエンティ・ワン・キャピタルによる特別買収目的会社(SPAC)合併計画の一環として位置付けられている。
現況報告書によれば、キャンター・エクイティ・パートナーズは4月22日、トゥエンティ・ワン・キャピタルとその複数の関係者との間で事業結合契約を締結。テザーはその契約条件として、契約締結後10営業日以内に4億5,870万ドル相当のビットコインを購入することに合意している。
テザーが今回購入したビットコインは約4,812.2 BTCとなっており、1 BTCあたり95,319ドルの平均購入価格で取得。これらのビットコインは同社が保有・運営するデジタルウォレット「PIPE Digital Wallet(パイプ・デジタルウォレット)」で一時管理されている。現況報告書には該当ウォレットのアドレスが記載されており、残高の確認も可能だ。
なお、テザーは将来的にこのビットコインを購入額と同額でトゥエンティ・ワン・キャピタルに売却することに合意している。この取引は単なる投資ではなく、SPAC合併を視野に入れた戦略的な資金移動であり、トゥエンティ・ワン・キャピタルに対する強気な支援体制の表れと言えるだろう。
企業のビットコイン保有状況を追跡する「Bitcoin Treasuries(ビットコイントレジャリーズ)」のデータによると、トゥエンティ・ワン・キャピタルのビットコイン保有量は執筆時点で31,500 BTC(約32.8億ドル)となっており、公開企業の中では3番目の保有量を記録している。今回の取引により、同社は今後さらに多くのビットコインを保有する見込みだ。
今回のような大規模なビットコイン取引は、暗号資産(仮想通貨)業界全体にとっても注目すべき動向と言える。今後もテザーの動きが市場の流れを牽引し、関係各社の仮想通貨戦略に大きな影響を与える可能性に期待したい。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.15円)