国家外貨準備にビットコイン採用、スイスが描く新時代の金融戦略
スイス連邦政府は12月31日、中央銀行である「スイス国立銀行」が外貨準備にビットコインを組み込むことを目指した国民発議が実施されたと発表した。
外貨準備とは、政府や中央銀行が保有する外貨建て資産のことだ。債券や金、預金などで構成される。為替介入の資金になるほか、通貨危機で外貨建ての債務の返済が困難になる事態に備えて蓄えられる。(出典:三井住友DSアセットマネジメント)
発議の中核にあるのは、スイス憲法第99条第3項を改正し、中央銀行が保有する外貨準備の一部をビットコインと金で保有するという提案だ。この動きは、国家レベルで暗号資産(仮想通貨)を外貨準備として正式採用する初の試みとなる可能性があり、金融政策の歴史において画期的な一歩とされる。
従来、外貨準備は主に米ドルやユーロなどの法定通貨、あるいは金などの実物資産で構成されてきた。しかし、ビットコインのような仮想通貨が国家の外貨準備に加わることは、金融の分散化とデジタル化における新たな時代の到来を象徴している。
スイスがこの提案を実現すれば、国家がビットコインを公式資産に採用する初の事例となり、他国の中央銀行や金融機関にも大きな影響を与える可能性がある。特に、金融政策の安定性や通貨の信頼性に関する議論を活発化させる契機となるだろう。
一方、この発議が成立するまでにはいくつかの段階を経る必要があり、最終的な判断は国民投票に委ねられる見込みだ。しかし、この発議がスイス国内だけでなく国際的な関心を集めていることは間違いない。スイスがこの取り組みに成功すれば、仮想通貨の活用は国家運営における新たなスタンダードとなるかもしれない。
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