米ビットコイン投資企業ストラテジー(旧マイクロストラテジー:MSTR)は1日、優先株の配当や負債の利払いを安定させる目的で、14億4,000万ドル(約2,230億円)の米ドル準備金を新設したと発表した。同社は同時に、追加で130 BTCを購入したことを発表し、総保有量は65万BTCに到達した。
ビットコイン価格下落を受け、2025年業績予想を大幅に下方修正
米ドル準備金は、同社が発行する優先株の配当および負債の利払いを支えるために設けられたもので、クラスA普通株式のATMプログラム(株式売却枠)による売却収益を原資としている。ストラテジーは、この準備金で少なくとも12カ月分の配当・利払いをまかなう方針で、最終的には24カ月以上のカバーを目指す。
創業者兼会長のマイケル・セイラー氏は、今回の準備金を「ビットコイン財務戦略を補完する進化の次の段階」と位置付け、市場変動への対応力を高める狙いがあると述べた。
ビットコイン購入については、11月17日から30日の期間で130 BTCを買い増し、総保有量は総供給量2,100万BTCの約3.1%を占める65万BTCとなった。今回の買付価格は1 BTCあたり約89,960ドルだった。同社の平均取得価格は約74,436ドルとなる。これらの購入もクラスA普通株式のATMプログラムの収入を活用して実施された。
2025年業績は赤字の見込みも
また同社は10月30日時点で、2025年末のビットコイン価格を15万ドルと仮定して業績予想を公表していた。しかしその後、ビットコイン価格は11万1,612ドルから一時8万660ドルまで下落し、市場環境が大きく変化した。これを受け、同社は2025年末のビットコイン価格を8万5,000〜11万ドルの予想レンジに修正し、2025年の業績予想を大幅に下方修正した。
新たな2025年の業績予想では、営業利益がマイナス70億〜プラス95億ドル、純利益がマイナス55億〜プラス63億ドルと幅広いレンジとなり、ビットコイン価格の変動次第で赤字にも黒字にも振れ得る収益構造が示された。
ストラテジーはビットコインを積み増しながらも、多額の米ドル準備金を並行して用意した。これは、資金配分をデジタル資産と現金の双方に分散し、運営上のリスクを抑えるアプローチである。暗号資産(仮想通貨)の価格変動が大きい状況でも、安定した資金源を確保することで企業活動を継続できる仕組みを整えた点が特徴的である。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.9円)




