ストラテジー、MSCIの暗号資産トレジャリー企業除外案に反対──「差別的」と批判

JinaCoin編集部
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Highlights
  • ストラテジー、MSCIの暗号資産保有比率50%超企業の指数除外提案に反対表明
  • 「DATは事業会社であり投資ファンドではない」と主張し、基準の差別性・恣意性を批判
  • 提案実施なら数十億ドル規模の資本流出と業界成長阻害の恐れ

世界最大のビットコイン投資企業であるストラテジーは10日、MSCIの株価指数(※)から「暗号資産(仮想通貨)保有比率50%以上の企業」を除外する案について、反対の立場を示す公開書簡を発表した。同社は、提案が暗号資産企業の実態を誤認し、業界全体に深刻な影響を及ぼすと主張している。

※MSCI(Morgan Stanley Capital International)が提供する世界の株式市場の動向を測定するために作られたベンチマーク指数群。機関投資家やETF(上場投資信託)、年金基金などが投資判断に広く利用している。ストラテジーは現在MSCIアメリカ指数とMSCIワールド指数に組み入れられている。

「投資ファンド」ではなく「事業会社」である

MSCIが暗号資産保有比率を基準に企業を除外する方針を示したことを受け、ストラテジー社は書簡で、暗号資産トレジャリー企業(DAT)は投資ファンドではなく事業会社であり、保有するビットコインを用いたサービスを展開していると強調した。同社は単なる資産保有主体ではないため、この基準での除外は不当だと主張している。

同社はまた、MSCIの「50%ルール」が暗号資産のみを対象とした差別的かつ恣意的な基準だと批判した。他産業での単一資産の高集中が一般的であるにもかかわらず暗号資産のみ不利に扱われる点や、資産価格の変動により指数構成が不安定化するリスクも問題視した。

さらにストラテジー社は、この提案がMSCIの中立的な指数提供という役割を逸脱し政策的判断を持ち込むものだと指摘。米国政府が暗号資産技術を国家戦略として推進していることを踏まえ、DATやビットコインを多く保有するマイナーが指数から除外されれば、国内産業の成長を阻害し、数十億ドル規模の資本流出につながりかねないと警告した。

一般的に、MSCIの株価指数から除外されると、指数連動のETFや年金基金などパッシブ資金が企業株を売却する可能性がある。これにより売り圧力が生じ、株価下落や流動性低下を招くことが想定される。また、多くの機関投資家は投資対象を「MSCI採用銘柄」に限定する傾向があるため、除外後は長期資金が入りにくくなり、企業の資金調達コストも上昇する可能性がある。

公開書簡の内容からは、MSCIの提案が暗号資産企業の分類や指数構成に関する重要な論点を提起していることが読み取れる。専門家の間では、指数事業者が資産保有構造をどこまで評価基準に含めるべきかという議論が改めて浮上しており、今回の書簡は暗号資産を巡る基準作りの難しさを示す一例といえるだろう。

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