米ビットコイン投資企業「Strategy(ストラテジー、旧マイクロストラテジー:MSTR)」は20日、10月13日から19日にかけて168 BTCを約1,880万ドル(約28億円)で追加購入したと発表した。これにより、同社のビットコイン保有総量は640,250 BTCに達し、評価額は約10兆円にのぼる。
依然として株式売却益を原資に、ビットコイン積み増しを継続
今回の購入価格は1 BTCあたり約112,051ドルで、これにより同社の平均取得価格は1 BTCあたり約74,010ドルとなった。今回の購入は、優先株(STRF、STRK、STRD)のATMプログラム(株式売却枠)による収入を原資としている。
具体的な調達額は以下の通り。
- STRF:約10万株(約1,120万ドル/約16億円)
- STRK:約5.5万株(約510万ドル/約7.6億円)
- STRD:約3.2万株(約260万ドル/約3.9億円)
10月19日時点で、総額約7兆円相当の発行枠が以下のとおり残っており、今後も同様の手法でビットコインを追加購入する余力がある。
- クラスA普通株式:約159億ドル(約2.4兆円)
- STRK:約203億ドル(約3兆円)
- STRF:約16億ドル(約2,539億円)
- STRD:約41億ドル(約6,235億円)
- STRC:約42億ドル(約6,321億円)
一方で、こうしたビットコイントレジャリー企業への投資は、個人投資家に損失をもたらしている。調査会社「10X Research(10xリサーチ)」の分析によると、個人投資家はストラテジーなどの株式を通じて間接的にビットコインへ投資した結果、約170億ドル(約2.5兆円)の損失を被ったという。
ストラテジー株のプレミアムはかつて保有BTC価値の3〜4倍に達していたが、現在は1.4倍前後まで縮小した。市場の過熱が冷めるなか、同社の株式売却を原資とするビットコイン購入モデルは転換期を迎えており、投資家には冷静な判断が求められる。
ストラテジーのような企業は、ビットコインの保有拡大を通じて強気姿勢を示しているが、株価プレミアム頼みの成長には限界がある。市場の成熟が進むなかでは、実質的な収益力や資本効率が企業価値を左右する要因となり、今後はより持続可能で安定した運用モデルへの転換が求められている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.62円、1 BTC=16,728,108円)