米テック企業ストラテジーのCEOであるフォン・リー氏は、同社が保有するビットコイン(BTC)の売却について、あくまで「最終手段」であるとの立場を明確にした。同氏は11月29日に「What Bitcoin Did」が投稿したインタビュー動画の中で、長期保有の核となる戦略を維持する方針であることを強調している。
株価がNAVを下回る状態・資金調達困難が売却判断の分岐点に
ストラテジーは株式や転換社債、優先株などの発行によって資金を調達し、その資金でビットコインを買い増してきた企業として知られる。しかし、ビットコイン価格が大幅に下落した際、同社が利払いなどの義務を果たせず、資金確保のため最終的にビットコインを売却するのではないかという懸念が市場で強まりつつある。
リー氏はビットコインの売却について問われた際、企業の評価額がビットコインの純資産価値(NAV)を下回る状態が続き、かつ配当支払いのための資金調達が困難になった場合は、売却を進める可能性があると述べた。これは、同社の主要な業績指標(KPI)である「BTCイールド(1株あたりのビットコイン保有量の比率を表す指標)」を維持するための、数学的に正しい判断であると説明している。
しかし同時に、リー氏は市場の感情的な側面も考慮する必要があると強調。「当社がビットコインを売却する企業になるという市場の物語(ナラティブ)は、企業にとって良いことではない」とし、ビットコイン保有企業としての強い信念を示している。同氏は売却の判断はあくまで資金調達が不可能になった場合の「最終手段」であると繰り返し述べ、保有資産を基盤とする成長戦略を維持する考えを共有した。
ビットコイン保有戦略を続けながらも、必要局面では柔軟な判断を行う構えを示したリー氏の発言は、ストラテジーの財務戦略に対する市場の懸念を整理するきっかけになり得る。今後、同社株の評価と市場環境がビットコイン戦略の実行にどのような影響を与えるかに引き続き注目していきたい。
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