韓国の財政経済部は20日、暗号資産(仮想通貨)の所得課税をめぐり、国内のウォン建て取引所5社などと非公開の懇談会を開く。課税の開始が来年1月に迫るなか、国会には16日、与党・共に民主党の議員が開始を遅らせる法案を提出した。野党案を含め、延期か廃止を求める法案は少なくとも5本ある。
韓国政府、20日にアップビットなど5取引所と懇談会
韓国紙イーデイリーによると、懇談会は20日午前にソウルで開き、財政経済部の第1次官が主宰する。アップビットを運営するドゥナムのほか、ビッサム、コインワン、デジタルエックス(旧コービット)、ゴーパックスの5社と、取引所の業界団体DAXA、金融委員会、専門家が出席する予定だ。
財政経済部は同紙に対し、内部で決めた方針を伝える場ではなく、意見を聞くための場だと説明した。副総理兼財政経済部長官が国政監査で、幅広く意見を聞くと答えたことを受けた対応だという。
現行の所得税法では、暗号資産の譲渡や貸与で得た所得をその他所得として分離課税する。年250万ウォン(約30万円)を差し引いた額に、地方所得税を含め22%の税率をかけ、2027年1月1日に始まる予定だ。
この課税は2020年12月の法改正で導入され、施行はこれまで3回延期された。
同紙によると、当時の国税庁長は13日の国政監査で、暗号資産課税に関する告示案を11月に発表できるよう準備していると述べた。
暗号資産の課税延期法案、与党の共に民主党からも
共に民主党のパク・ミンギュ議員ら14人が16日に提出した所得税法の改正案は、課税の開始日を変える。韓国の国際租税調整法に基づいて暗号資産の取引情報が初めて交換された日が属する年の、翌々年1月1日とする内容だ。
提案理由では、海外取引所での取引は経済協力開発機構(OECD)の暗号資産の自動情報交換の枠組み(CARF)が本格的に動くまで課税資料を十分に集められず、国内取引所の利用者に課税が偏るおそれがあると説明した。米国のCARFへの参加が2029年である点も挙げている。
イーデイリーは、この案で開始は事実上2029年1月になると報じた。
韓国国会の議案情報システムで19日時点の状況を確かめると、暗号資産課税の延期や廃止を求める所得税法の改正案として、次の5本を確認できた。
| 提出日 | 提出者 | 内容 | 審議の状況 |
|---|---|---|---|
| 3月19日 | ソン・オンソク議員(国民の力) | 暗号資産の所得税の規定を削除 | 委員会で審査中 |
| 8月10日 | チョン・ソングク議員(国民の力) | 2030年1月1日に3年延期 | 委員会で審査中 |
| 8月28日 | キム・サンフン議員(国民の力) | 2029年1月1日に2年延期 | 委員会で審査中 |
| 9月23日 | キム・ジェソプ議員(国民の力) | 2030年1月1日に延期し、事業者に利用者への所得計算資料の提供を義務付け | 委員会に付託 |
| 10月16日 | パク・ミンギュ議員(共に民主党) | 暗号資産の取引情報を初めて国際交換した年の翌々年1月1日に延期 | 受理 |
キム・サンフン議員の案は、分散型取引所(DEX)や個人間取引、分散型金融(DeFi)の取引を追跡する仕組みが整っていない点を理由に挙げた。上場株式を売る少額株主には譲渡所得税がかからないこととの公平性にも触れている。
ソン・オンソク議員の案は、課税の規定そのものを削る。株式などを対象にした金融投資所得税が廃止されたなかで、暗号資産だけに課税するのは公平性や一貫性に問題があるとしている。
日本の暗号資産課税は20%の申告分離課税へ
日本では、3月31日に公布された所得税法等の改正法で、暗号資産の所得をほかの所得と分けて課税する申告分離課税の導入が決まった。税率は20%(所得税15%、住民税5%)で、損失は一定の要件のもとで翌年以後3年間繰り越せる。
対象は、金融商品取引業者登録簿に登録された暗号資産などに限る。適用は、暗号資産を金融商品取引法の対象に移す改正法の施行日が属する年の、翌年1月1日以後の譲渡などからだ。この金商法改正は7月15日に成立した。
JinaCoinの国会トラッカーの集計では、2018年2月以降に税制に関して暗号資産や関連分野に触れた国会発言は、執筆時点で185件ある。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ウォン=0.12円)
