Howeyテストでマイニング活動の証券該当性を検討
米証券取引委員会(SEC)の企業財務部は20日、暗号資産(仮想通貨)のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)のマイニング活動に関する声明を発表した。今回の声明は、仮想通貨に対する証券法の適用について明確な指針を示すことを目的としており、マイニング活動が証券法上の「証券の提供・販売」に該当するかが焦点となっている。
SECは、声明発表時点におけるマイニング活動に対して、1933年証券法の第2条および1934年証券取引法の第3条で定義される「証券」の提供・販売には該当しないとの見解を示した。そのため、マイニング活動の参加者は、証券法に基づく登録義務や登録免除の手続きを行う必要がないとしている。
今回の声明では、個人やグループが自身の計算リソースを用いて仮想通貨を取得する「自己マイニング」、複数のマイナーが計算リソースを共有する「マイニングプール」の2種類のマイニング方式が取り上げられた。
SECは、2種類のマイニング活動が証券に該当するかの判断基準として、「Howeyテスト」を適用している。このテストは、「他者の起業家的または管理的な努力から得られる利益の合理的な期待」に基づき、「企業への資金投資」が行われているかを評価するものである。つまり、投資家が他者の努力によって利益を得ることを期待し、資金提供をしている場合は「証券」とみなされる可能性があるということだ。
自己マイニングについては、マイナーが自身の計算リソースを用いて仮想通貨を取得する行為であり、他者の努力による利益期待には該当していない。さらに、マイニング行為自体は、ネットワーク維持や運営のための管理的な作業にすぎないとの見方からも、証券には該当しないとしている。
また、マイニングプールに関しても同様の見解だ。プール参加者は運営者に依存せず、自身や他のマイナーの計算リソースを活用して仮想通貨を得る仕組みであるため、他者の努力による利益期待には該当しないとしている。
SECの声明は、仮想通貨業界にとって一定の明確性をもたらすものとなった。証券法適用リスクを回避できることから、マイナーは今後の事業活動に対する不安要素がひとつ払拭されたと言えるだろう。今後もSECは仮想通貨分野における規制適用について精査を続けるものとみられており、その動向が引き続き注視されている。
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