エス・サイエンス、「エスクリプトエナジー」に社名変更──元青汁王子が事業責任者、BTC投資上限撤廃で1,000 BTC目標

水澤 誉往
19 Min Read
画像は三崎優太氏Instagramより引用
Highlights
  • 東証スタンダード上場のエス・サイエンスが2026年4月1日付で「エスクリプトエナジー株式会社」に社名変更
  • 暗号資産の年間投資上限96億円を撤廃し、中期的に1,000 BTCの取得を目指す。現在296.24 BTCを保有
  • 元青汁王子こと三崎優太氏がクリプトアセット事業開発担当室長として事業を主導、株式は保有せず

東証スタンダード上場の株式会社エス・サイエンス(5721)は15日、複数の適時開示を通じて暗号資産(仮想通貨)事業への本格転換を発表した。2026年4月1日付で社名を「エスクリプトエナジー株式会社」に変更し、従来の年間投資上限96億円を撤廃。中期的にビットコイン1,000 BTCの取得を目標に掲げる。

同社は2025年8月から10月にかけて約50億円を投じてビットコインを段階的に取得しており、現在296.24 BTC(平均取得単価約1,687万8,000円)を保有している。元「青汁王子」こと三崎優太氏がクリプトアセット事業開発担当室長として事業を主導する。三崎氏は同日、X(旧Twitter)で「来年に私が起こす革命に、この会社は必要不可欠です。物語が交差する時、時代は動く」と今後の展開に意欲を示した。

暗号資産戦略の全容

エス・サイエンスは従来、暗号資産への年間投資上限を96億円と定めていたが、今回これを全面撤廃した。中期的な目標として1,000 BTCの取得を掲げ、市場環境や財務状況に応じて柔軟に購入を進める方針である。

2025年8月26日に初回購入を実施し、10月2日までに複数回にわたり取得を実施。現在の保有量は296.24 BTC、評価額は約41億1,000万円に達している。平均取得単価は約1,687万8,000円で、未実現損益は約マイナス9億円(マイナス17.8%)となっている。

関連:エス・サイエンスのビットコイン財務情報

保有する暗号資産は四半期ごとに時価評価され、評価損益は当該四半期の業績に反映される。同社は適時開示を通じて保有残高と業績への影響を継続的に公表する方針だ。

株主割当で最大297億円調達

同社は同日、2025年12月31日を基準日として全株主に対し新株予約権を無償で割り当てる株主割当増資を実施すると発表した。割当比率は保有株式1株につき新株予約権1個で、新株予約権1個の行使により普通株式2.5株を取得できる。

行使価額は基準日直前の取引日(2025年12月30日)の東証終値の50%ディスカウント(1円未満切り捨て)と設定された。たとえば、2025年12月11日終値116円の場合、行使価額は58円となる。行使期間は2026年3月2日から同年5月29日まで。

全株主が新株予約権を行使した場合、調達額は最大約254億円に達する見込みだ。同社は実際の行使率を約50%(約127億円)と想定している。調達資金のうち約220億円をビットコイン購入に、約20億円をデジタルアセット領域への戦略的投資に充当する計画だ。

本新株予約権の割当・発行は、2026年2月17日開催予定の臨時株主総会での承認を条件とする。

同社は2025年9月に第8回新株予約権(第三者割当)で約43億円を調達済みで、今回の第10回新株予約権と合わせ最大約297億円の資金調達を計画している。

株主への影響──行使で持分維持、未行使で希薄化

今回の株主割当方式では、全株主が保有株数に応じて平等に新株予約権を受け取るため、全株主が行使すれば持分比率は変わらない。ただし、行使しない株主がいる場合、その分だけ行使した株主の持分比率が相対的に上昇し、未行使株主は希薄化する。

新株予約権は非上場のため市場での売却はできず、行使しない場合は権利が消滅する。一方、行使する株主にとっては市場価格の50%で株式を追加取得できるメリットがある。株価が116円の状態で行使すれば、58円で取得した株式に即座に58円の含み益が生じることになる。

同社は全株主が新株予約権を行使した場合、最大で約4億3,786万株(現在の発行済株式総数の約2.5倍)が新たに発行される可能性があるとしている。これに伴い、短期的には需給バランスの変化や株価への影響が懸念されるが、同社は調達資金をビットコイン取得という明確な戦略に充当することで、中長期的な企業価値向上を目指す方針だ。

社名変更と定款変更

同社は2026年4月1日付で商号を「株式会社エス・サイエンス」から「エスクリプトエナジー株式会社」(英文名:S Crypto Energy Inc.)に変更する。変更理由として「暗号資産トレジャリー企業としての事業規模拡大と認知度向上」を挙げている。

定款変更では、事業目的の筆頭に「暗号資産の投資および運用ならびに関連するサービスの提供」を追加。デジタル・アセット・トレジャリー業務、暗号資産マイニング、ブロックチェーンネットワーク向けAI演算処理なども事業目的に盛り込んだ。

発行可能株式総数も2億株から7億株に引き上げられ、将来的な資金調達の柔軟性を確保する体制を整えている。

元「青汁王子」三崎優太氏が事業を主導

元「青汁王子」こと三崎優太氏は2025年4月24日、エス・サイエンスのクリプトアセット事業開発担当室長に就任し、同社の暗号資産事業を主導している。同氏は過去に同社株式を保有していたが、現在は株主ではない点が重要である。

同氏は2025年3月末時点で6,502千株(4.59%)を保有し、当時は主要株主だったが、同年7月1日に全株を売却した。同社は適時開示で「三崎優太氏は主要株主及び筆頭株主かつその他の関係会社に該当しないこととなりました」と明記している。

現在、三崎氏は新株予約権(第9回新株予約権4万5,500個)を保有するが、株式そのものは保有していない。同社のIR情報によると、2025年9月30日時点の大株主リストにも同氏の名前は記載されていない。事業責任者として暗号資産戦略を推進する立場にあるが、株主としての立場とは区別される。

関連:青汁王子、上場企業のクリプト事業室長に就任

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株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
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