巨額資金とAIの融合による商取引の変化
小売・商取引向けのAIエンゲージメントプラットフォームを提供する「Rezolve Ai(リゾルブAI)」は24日、総額10億ドル規模のビットコイントレジャリーを発表した。
10億ドルといえば日本円でおよそ1,500億円。ビットコインのボラティリティを考えると相当な覚悟が求められる取り組みだ。同社はこの巨額資金を暗号資産(仮想通貨)決済プラットフォームの“財務戦略のかなめ”に据え、AIと組み合わせることで商取引を一変させるという。
スケジュールとしては、今年後半にAIを搭載した決済プラットフォームをローンチする予定。ここではAIが決済の最適化を支援し、ビットコインやUSDTを安心して利用できる環境を提供する計画という。具体的には、ユーザーや小売業者がスムーズに取引できるよう、AIが取引のインテリジェンスを提供し、流動性を確保するしくみを構築する。小売業者は受け取ったビットコインを即座に法定通貨へ転換できるようになり、さらにAIが売上や顧客嗜好を的確に分析することで、利便性が高まると期待される。
同社はまず1億ドル相当のビットコインを購入し、その後段階的に買い増していく予定である。これを「ビットコイントレジャリー」と呼び、信託口座に資産を保管し、運用ルールを厳格に定めるしくみを整えているという。投資家や株主にとってはリスクが高いと映るかもしれないが、ビットコイン価格の上昇局面でリターンを得られれば、資本効率が飛躍的に高まる可能性もある。結局のところ、リスクとリターンの兼ね合いが焦点となる。
リゾルブAIはビットコインを「流動性が高く、新時代の価値保存手段になり得る」と位置づけている。ビットコインにはインフレヘッジや希少価値といった数多くの“御託”があるが、最終的には企業や投資家が「信じるかどうか?」という部分が大きい。AIがビットコインをより使いやすい決済手段に変えることができれば、企業や機関投資家がさらなる導入に動く可能性もある。但し、同社は過去1年間で売上を大きく伸ばしている反面、財務面には慎重な見方もある。現在、リゾルブAIの株価は2.5ドル近辺を推移しており、1年ベータ値は-0.679と報告されている。これは市場との逆相関が見られることを示唆しているが、小型株であるためボラティリティの影響も受けやすい。
リゾルブAIが目指すのは、AIの力で仮想通貨を日常の決済手段として組み込み、安全かつ柔軟に利用できるようにすることだ。これが実現すれば、既存のクレジットカードや銀行送金のしくみを覆す可能性がある。需要予測やリスク管理をAIが担えば、手間を最小限に抑えられると見込まれ、ビットコインが小売革命を起こすシナリオも絵空事ではなくなるかもしれない。