SBIがサークルと提携│電子マネー乱立からステーブルコイン競争へ

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目次

SBIが米サークルと包括的業務提携

SBIホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表:北尾 吉孝)は27日、同社ホームページで、Circle Internet Financial(本社:米マサチューセッツ州、代表:Jeremy Allaire、以下「サークル社」)との包括的業務提携に向けた基本合意書を締結したことを発表した。

サークル社は、世界的な金融テクノロジー企業で、世界最大の規制対象ステーブルコインであるUSDCを発行する。SBIホールディングスはサークル社との提携により、①日本国内におけるステーブルコインUSDCの流通、②サークル社の銀行口座開設、③サークル社のWeb3関連サービスの普及を目指す目論みだ。

関連:キャプテン翼 -RIVALS- ガバナンストークン、SBI系BITPOINTに上場

USDCと法規制

SBIホールディングスが本日ホームページに掲載した『SBIホールディングスとUSDCを発行する米Circle社との包括的業務提携に向けた基本合意書の締結に関するお知らせ』と題する速報は、1,800字程度と短いながら、USDCと日本の改正資金決済法との兼ね合いが明快に説明されており有用だ。

USDCは100%信託保全のステーブルコインだが、これは「日本の改正資金決済法が定義するステーブルコイン」と完全に一致する。つまり、昨今、暗号資産(仮想通貨)に対する社会的信頼をいちじるしく貶めたFTXやバイナンスのような不祥事が起こらないことは、サークル社自身ではなく、日本の金融庁が保証してくれる。

USDCの役立ち

一方、日本市場におけるUSDCの役立ちについては、いまだ具体的な構想は明らかにされていない。旧Facebook社が発行を目論み、そして潰された、幻のステーブルコイン『リブラ』が、Facebook内での価値移転という役立ちが明確だったのとは対照的だ。

あるいは、PayPal社の発行するステーブルコインや、鉄道会社やコンビニの発行する電子マネーであれば、その使途は明快だが、USDCの役立ちはわかりにくい。

米ドル建てなのが日本国内での取引には不便だし、1取引100万円規制の対象となるので、大口の資金移動にも不向きだ。円安ドル高という大局的トレンドの追い風はあるものの、「取引目的」にも「資産保全目的」にも中途半端なのだ。現時点では、ドル経済圏との越境ECの決済や、クラウドソーシングにおける報酬の国際間決済などの用途が想定される。

一方、発行主体にとっては、ステーブルコインは将来的に継続的な手数料収入が見込めるという旨味をもつ。いわゆる「ちゃりんちゃりんビジネス」である。その旨味をもとめて、今後ステーブルコインは、現在の「電子マネーの乱立状態」に似た状況になるだろう。

乱立する電子マネー

多数のステーブルコインが切磋琢磨することによって、①サービスが向上し、②手数料が低下し、③システミックリスクが低下し、④最終的に2-3のステーブルコインが生き残るのが、社会的には望ましいといえる。

にわかに盛り上がる界隈

今回の発表を受けて、旧Twitterを中心とした「仮想通貨界隈」では、にわかに盛り上がりを見せている。但し、Web3新時代への期待への高まりというよりは、「これを材料にビットコインが爆上げしてくれないかな~」というのが本音だろう。

公式発表

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この記事を書いた人

JinaCoinのニュース担当記者。仮想通貨歴は8年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』(https://amzn.to/49zjrXG)。来タイ12年。

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