ビットコインからの完全撤退、イーサリアム中心の財務戦略へ移行
暗号資産(仮想通貨)関連事業を展開する米ナスダック上場企業「Bit Digital(ビットデジタル)」は7日、同社の財務資産を完全にイーサリアム(ETH)へと転換したことを発表した。これにより、保有するイーサリアムの総量は約100,603ETH(約372億円)に達する。
今回の発表は、ビットデジタルが完了した約1億7,200万ドル(約250億円)規模の公募増資に続くものであり、調達した資金の大部分をイーサリアムの購入に充てた。また、同社は保有していた約280BTC(ビットコイン)を売却し、その売却益もすべてイーサリアムの追加取得に用いた。
ビットデジタルは2025年3月31日時点で24,434ETH(約89億円)を保有していたが、今回の資金調達と資産入れ替えにより、保有量を約4倍に増加させた。これにより、同社はイーサリアムを基軸とする財務戦略を持つ上場企業として、一躍その存在感を高めている。
ビットデジタルは、かつてビットコインのマイニング事業を主力として展開していたが、2025年6月に事業方針を大きく転換。現在は、イーサリアムの蓄積とステーキングを中核とする戦略に移行している。これにより、イーサリアムを基盤とした収益モデルと財務運用を柱とする事業体制を整備しつつある。
今回の発表にあたり、ビットデジタルのCEOであるサム・タバール氏は、イーサリアムが持つ技術的な柔軟性や将来的な成長性に注目していると説明。同社としてもその可能性に賭け、長期的な財務基盤としてイーサリアムを中核に据える方針を示した。特に、プログラム可能なネットワークである点や、利用が拡大していること、さらにはステーキングによる収益モデルなどが、仮想通貨における次世代の方向性を象徴するとして評価している。
今後について同社は、今回の10万ETH取得が第一歩であり、今後も積極的にイーサリアムの保有を拡大していく意向を示している。将来的には「世界で最も影響力のあるイーサリアム保有企業」を目指すという。
仮想通貨を保有する上場企業の中では、従来ビットコインを主軸とする企業が多かったが、今回のビットデジタルの方針転換はその流れに一石を投じるものとなる可能性がある。仮想通貨の財務活用が進む中、ビットコインからイーサリアムへの関心の移行が今後広がるのか、業界内でも注目が集まっている。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1USD=145.85円、1ETH=370,264円)